サマリー
◆為替レートは「水準」が問題なのではなく、ファンダメンタルズの変化を大幅に上回る変動が問題である。市場為替レートの過度な変動は直接的に日本経済を悪化させるだけでなく、企業が輸出競争力を維持するために名目賃金の伸びを抑制するという間接的だが重大な悪影響をもたらしている。行き過ぎた円高を解消していくためには長い目で見た円高対策が必要である。具体的には、変動相場制の過度な変動を抑制するルール作りや、日本の製造業が販売価格の下がらないようなモノ作りや下げずにすむ販売方法を目指すべきである。
◆原子力発電所の停止による電力供給の不足は、主に大口向けの電力需要の抑制や火力発電の稼働率引き上げで対処してきたが、その代償として企業活動の抑制や電力料金の引き上げ圧力へと繋がっている。こうした影響を回避するため、今後は高い安全性を確保できた原発から再稼働させると共に、市場機能やスマートグリッドによって家庭向けの電力需要を一層抑制することや、合理的で透明性の高い再生可能エネルギーの買取価格の設定、といった複合的な対策が求められる。
◆世界的に政府財政問題が深まっている中、具体的な消費税増税案を含む社会保障・税一体改革素案がまとまった意味は大きい。ただ、素案の哲学には賛同できるにしても、既存給付への切り込みは十分とはいえず、検討を先送りしている項目も多い。今後、実際に消費税増税をするための条件が整うかに注視していきたい。
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