サマリー
◆2026年7月末、日米当局は円買い方向の協調介入に踏み切った。円買い方向の日米協調介入としては1998年以来28年ぶりであり、市場へのインパクトは大きかった。一方、介入の効果を単純に評価することは難しく、米金利低下やセンチメント変化など、同時に生じ得る他の要因との切り分けが必要である。
◆そこでマクロ金融変数や海外市場の動向から説明される「反実仮想レート」を推計し、実勢レートと比較すると、2022年以降の多くの介入局面で円安方向に発生した乖離は、介入直後に縮小した。だが、時間の経過とともに両者の乖離が再び拡大し、介入前の円安水準に戻る局面も多く、持続的な効果を発揮した事例は限られた。2026年7月末の日米協調介入は、市場の方向転換につながる材料が乏しい中で、「時間を買う」政策として一定の意義があったといえる。
◆足元のドル円相場は反実仮想レートから円高方向に明確に乖離しており、通貨当局が更なる円買い介入を実施する合理性は低いとみられる。今後の焦点は、直近の円高への動きは市場参加者の期待形成をめぐるレジーム転換なのか、一時的な乖離なのかという点だろう。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
同じカテゴリの最新レポート
-
生成AI時代の景気判断とテキスト経済指標
~望まれる公的な経済テキストデータの提供基盤~『大和総研調査季報』2026年秋季号(Vol.64)掲載
2026年10月26日
-
日本は「中技術国の罠」から抜け出せるか
~R&D投資規模より配分の転換を~『大和総研調査季報』2026年秋季号(Vol.64)掲載
2026年10月26日
-
高市政権の成長戦略に対する期待と不安
『大和総研調査季報』2026年秋季号(Vol.64)掲載
2026年10月26日
最新のレポート・コラム
-
生成AI時代の景気判断とテキスト経済指標
~望まれる公的な経済テキストデータの提供基盤~『大和総研調査季報』2026年秋季号(Vol.64)掲載
2026年10月26日
-
日本は「中技術国の罠」から抜け出せるか
~R&D投資規模より配分の転換を~『大和総研調査季報』2026年秋季号(Vol.64)掲載
2026年10月26日
-
高市政権の成長戦略に対する期待と不安
『大和総研調査季報』2026年秋季号(Vol.64)掲載
2026年10月26日
-
2026年9月全国消費者物価
サービスや非耐久財で価格上昇、コアCPIは9カ月ぶり+2%台
2026年10月23日
-
子どもが幼いうちは子育てに専念したい世帯にも目配りを
2026年10月26日
よく読まれているリサーチレポート
-
国税庁が非上場株式評価の方向性を公表
簿価純資産と収益力で評価する「残余利益方式」に統一の方向
2026年09月08日
-
GPIF経営委員会の8月開催が意味すること
基本ポートフォリオ見直しに向けて第一歩を踏み出したのか
2026年09月01日
-
日米協調介入は円安の是正にどこまで効果を発揮したのか?
更なる介入の合理性は低下。レジーム転換の有無が今後の焦点に
2026年09月14日
-
コーポレートガバナンス・コード改訂の焦点
企業の自律的な判断と実質を伴う説明が問われる
2026年08月27日
-
第230回日本経済予測(改訂版)
円安・金利上昇下の日本経済と成長力強化への課題①AI活用による経済への影響、②資産市場と経済の好循環、を検証
2026年09月08日
国税庁が非上場株式評価の方向性を公表
簿価純資産と収益力で評価する「残余利益方式」に統一の方向
2026年09月08日
GPIF経営委員会の8月開催が意味すること
基本ポートフォリオ見直しに向けて第一歩を踏み出したのか
2026年09月01日
日米協調介入は円安の是正にどこまで効果を発揮したのか?
更なる介入の合理性は低下。レジーム転換の有無が今後の焦点に
2026年09月14日
コーポレートガバナンス・コード改訂の焦点
企業の自律的な判断と実質を伴う説明が問われる
2026年08月27日
第230回日本経済予測(改訂版)
円安・金利上昇下の日本経済と成長力強化への課題①AI活用による経済への影響、②資産市場と経済の好循環、を検証
2026年09月08日

