サマリー
◆日本経済にとって外国人労働者の受け入れは、労働投入量の増加だけでなく、TFP向上にも寄与し、さらには年金財政の改善などにもつながる。一方、長引く低成長や円安の進行もあってドルベースで見た日本の1人あたり名目GDPは韓国・台湾に逆転されており、今後も外国人労働者を日本に惹きつけることができるのかを不安視する声もある。
◆2030年末の外国人労働者数を試算すると、高技能労働者は122万人(2025年末比1.8倍)、中・低技能労働者は208万人(同2.5倍)となった。押し上げ要因は日本の経済成長と送り出し国の人口増加である。特に後者は、試算上では政府の受け入れ上限を上回るペースで増加する姿となった。ただし、日本経済の成長率低下と円安水準の継続が同時に生じた場合、2030年末の高技能労働者数は上記シナリオに比べて19万人、中・低技能労働者数は同63万人下振れすると試算される。中・低技能労働者が多く就労するのは人手不足が深刻な産業であり、当該産業での人手不足に拍車がかかる可能性がある。
◆必要な分野において外国人労働者を確保し、人手不足の緩和と生産年齢人口減少の抑制を図るためには、省力化投資や成長投資といった成長力強化の取り組みが重要である。加えて、更なる円安を招かないよう、金融政策の正常化や財政健全化を着実に進めることも必要だ。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
人手不足時代の外国人労働者の受け入れと共生の課題
潜在成長率を年率0.4%pt押し上げ/共生の鍵は日本語教育
2026年02月26日
-
人手不足下における外国人雇用の課題
労働力確保と外国人との共生の両立には日本語教育の強化が不可欠
2025年11月06日
同じカテゴリの最新レポート
-
出産年齢から見るChild Penalty①
就業継続の広がりと先行研究から見える課題
2026年11月06日
-
消費データブック(2026/11/5号)
個社データ・業界統計・JCB消費NOWから消費動向を先取り
2026年11月05日
-
2026年7-9月期GDP(1次速報)予測 ~前期比年率+1.5%を予想~
個人消費は小幅減だった一方、設備投資と輸出が実質GDPを押し上げ
2026年10月30日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
日本の長期金利、2035年に5%台の可能性
2035年に3.5~4.2%程度で、海外保有拡大で1%pt超の上乗せも
2026年10月16日
-
増える高齢富裕層とその地域分布
高齢富裕層はどこにいるのか、その資産は今後どこへ向かうのか
2026年10月01日
-
金利上昇と「資本コストや株価を意識した経営」
金利上昇による資本コスト上昇は限定的だが引き続き要注視
2026年10月13日
-
預貸率における地域間格差
東京都への一極集中と地域金融機関に期待される対応
2026年10月02日
-
飲食料品の消費減税による消費行動への影響
買い控え・反動増は限定的。外食支援策は実態を見極めた対応を
2026年10月19日
日本の長期金利、2035年に5%台の可能性
2035年に3.5~4.2%程度で、海外保有拡大で1%pt超の上乗せも
2026年10月16日
増える高齢富裕層とその地域分布
高齢富裕層はどこにいるのか、その資産は今後どこへ向かうのか
2026年10月01日
金利上昇と「資本コストや株価を意識した経営」
金利上昇による資本コスト上昇は限定的だが引き続き要注視
2026年10月13日
預貸率における地域間格差
東京都への一極集中と地域金融機関に期待される対応
2026年10月02日
飲食料品の消費減税による消費行動への影響
買い控え・反動増は限定的。外食支援策は実態を見極めた対応を
2026年10月19日

