2026年01月28日
サマリー
◆2025年は、AIが人間と協働する第一歩を踏み出した年となった。技術面では、AIモデルの高度化およびマルチモーダル化の進展で、より複雑なタスクの処理が可能になり、扱える情報の種類が増えるなど、AIが対応できるタスクの幅が広がった。さらに、軽量でも高性能なAIモデルが登場し、企業導入時の選択肢も拡大している。こうしたAIモデルの性能向上を背景に、AIエージェントやフィジカルAIといった実働型の領域でも、社会実装を見据えた実証実験が活発化した。
◆2026年以降は、このAIエージェントやフィジカルAIの社会実装がさらに進むことが期待される。それぞれ権限管理やセキュリティ、制度整備などに課題はあるが、まずはそれらの影響が比較的小さい定型的な業務や、工場などのクローズドな環境から実装が進むと考えられる。2026年は、経済全体が“AIを前提とした産業構造”へ移行していく契機の年になると見込まれる。
◆AI企業各社によるデータセンターなどのAIインフラへの投資は年々増加しており、一部では過剰投資との声もあるが、2026年もこの傾向は続く見込みだ。技術面での効率化は進むものの、それ以上にAIモデルの性能向上が上回っており、計算資源が逼迫している。そのため、直ちに過剰投資とは言い難い状況だ。一方で、収益面では企業によるAI導入が試行段階にあり、収益化まで時間を要する可能性が高く、動向を注視する必要がある。
◆収益化はAIモデルの性能だけでなく、企業での導入がどこまで広がり定着するかにも左右されると考えられる。当面は、導入領域の拡大や利用実績を慎重に見極め、短期的な話題ではなく長期的な視点で評価することが重要である。特化型AIモデルの活用も進み、用途に応じた最適化との併用が広がることも想定される。技術進展やインフラ整備に加え、企業導入の定着度が持続的な需要につながるかがAI市場成長の鍵となるだろう。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
同じカテゴリの最新レポート
-
経済指標の要点(9/16~10/14発表統計)
2026年10月14日
-
AI脅威論にどう向き合うべきか
安全確保と開発競争の両立に向けた企業間協調の可能性と限界
2026年10月09日
-
2026年8月消費統計
耐久財とサービスが弱く、総じて見れば前月から減少
2026年10月09日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
国税庁が非上場株式評価の方向性を公表
簿価純資産と収益力で評価する「残余利益方式」に統一の方向
2026年09月08日
-
GPIF経営委員会の8月開催が意味すること
基本ポートフォリオ見直しに向けて第一歩を踏み出したのか
2026年09月01日
-
日米協調介入は円安の是正にどこまで効果を発揮したのか?
更なる介入の合理性は低下。レジーム転換の有無が今後の焦点に
2026年09月14日
-
コーポレートガバナンス・コード改訂の焦点
企業の自律的な判断と実質を伴う説明が問われる
2026年08月27日
-
第230回日本経済予測(改訂版)
円安・金利上昇下の日本経済と成長力強化への課題①AI活用による経済への影響、②資産市場と経済の好循環、を検証
2026年09月08日
国税庁が非上場株式評価の方向性を公表
簿価純資産と収益力で評価する「残余利益方式」に統一の方向
2026年09月08日
GPIF経営委員会の8月開催が意味すること
基本ポートフォリオ見直しに向けて第一歩を踏み出したのか
2026年09月01日
日米協調介入は円安の是正にどこまで効果を発揮したのか?
更なる介入の合理性は低下。レジーム転換の有無が今後の焦点に
2026年09月14日
コーポレートガバナンス・コード改訂の焦点
企業の自律的な判断と実質を伴う説明が問われる
2026年08月27日
第230回日本経済予測(改訂版)
円安・金利上昇下の日本経済と成長力強化への課題①AI活用による経済への影響、②資産市場と経済の好循環、を検証
2026年09月08日


