サマリー
◆2025年は、AIが人間と協働する第一歩を踏み出した年となった。技術面では、AIモデルの高度化およびマルチモーダル化の進展で、より複雑なタスクの処理が可能になり、扱える情報の種類が増えるなど、AIが対応できるタスクの幅が広がった。さらに、軽量でも高性能なAIモデルが登場し、企業導入時の選択肢も拡大している。こうしたAIモデルの性能向上を背景に、AIエージェントやフィジカルAIといった実働型の領域でも、社会実装を見据えた実証実験が活発化した。
◆2026年以降は、このAIエージェントやフィジカルAIの社会実装がさらに進むことが期待される。それぞれ権限管理やセキュリティ、制度整備などに課題はあるが、まずはそれらの影響が比較的小さい定型的な業務や、工場などのクローズドな環境から実装が進むと考えられる。2026年は、経済全体が“AIを前提とした産業構造”へ移行していく契機の年になると見込まれる。
◆AI企業各社によるデータセンターなどのAIインフラへの投資は年々増加しており、一部では過剰投資との声もあるが、2026年もこの傾向は続く見込みだ。技術面での効率化は進むものの、それ以上にAIモデルの性能向上が上回っており、計算資源が逼迫している。そのため、直ちに過剰投資とは言い難い状況だ。一方で、収益面では企業によるAI導入が試行段階にあり、収益化まで時間を要する可能性が高く、動向を注視する必要がある。
◆収益化はAIモデルの性能だけでなく、企業での導入がどこまで広がり定着するかにも左右されると考えられる。当面は、導入領域の拡大や利用実績を慎重に見極め、短期的な話題ではなく長期的な視点で評価することが重要である。特化型AIモデルの活用も進み、用途に応じた最適化との併用が広がることも想定される。技術進展やインフラ整備に加え、企業導入の定着度が持続的な需要につながるかがAI市場成長の鍵となるだろう。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
同じカテゴリの最新レポート
-
消費データブック(2026/4/3号)
個社データ・業界統計・JCB消費NOWから消費動向を先取り
2026年04月03日
-
2026年3月日銀短観
円安等を背景に製造業の業況改善/先行きは中東情勢の悪化に警戒
2026年04月01日
-
原油高の継続がCPIに与える影響
ガソリン補助金の再開はコアCPI上昇率を最大0.5%pt程度抑制
2026年04月01日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
米国:AIブームの裏側で高まる金融リスク
ITセクターの収益懸念が揺らすプライベート・クレジット市場
2026年03月13日
-
超富裕層の株式譲渡所得への税率はミニマムタックス込みで最高35.63%に
2026年度税制改正大綱解説(3)富裕層課税(ミニマムタックス)
2026年02月09日
-
中東情勢緊迫化が日本経済の下振れリスクに
原油価格100ドル/バレルで26年度の実質GDP成長率は▲0.2%pt
2026年03月02日
-
ガバナンス・コード改訂による取締役会等機能強化
取締役事務局の役割を列挙、保有現預金の検証、「コーポレートセクレタリー」への言及など
2026年03月11日
-
「SaaSの死」は何を意味するのか?
AIエージェントが促すSaaS業界の構造変化、経済社会・雇用への波及
2026年03月03日
米国:AIブームの裏側で高まる金融リスク
ITセクターの収益懸念が揺らすプライベート・クレジット市場
2026年03月13日
超富裕層の株式譲渡所得への税率はミニマムタックス込みで最高35.63%に
2026年度税制改正大綱解説(3)富裕層課税(ミニマムタックス)
2026年02月09日
中東情勢緊迫化が日本経済の下振れリスクに
原油価格100ドル/バレルで26年度の実質GDP成長率は▲0.2%pt
2026年03月02日
ガバナンス・コード改訂による取締役会等機能強化
取締役事務局の役割を列挙、保有現預金の検証、「コーポレートセクレタリー」への言及など
2026年03月11日
「SaaSの死」は何を意味するのか?
AIエージェントが促すSaaS業界の構造変化、経済社会・雇用への波及
2026年03月03日


