サマリー
◆トランプ米政権の高関税政策(トランプ関税)により、自動車産業では大幅な減益となった一方、その他の業種への影響は軽微だった。トランプ関税への対応策として、米国での販売価格への転嫁を行う企業が多いが、自動車産業では追加関税負担を自社で吸収したり、現地生産・調達を拡大したりする企業が比較的多い。実際、足元でも自動車の輸出価格引き下げを通じて追加関税分の7割を負担している一方、一般機械・電気機械では輸出価格の引き下げ幅は僅かだ。
◆自動車産業において、仮に大企業が追加関税分を米国での販売価格へ転嫁していたとすれば、中堅・中小企業の収益が大きく落ち込んだ可能性がある。大企業が関税負担を引き受けたことは、悪影響の波及を回避し、マクロ経済にとってプラスに働いたと考えられる。他方、一般機械や電気機械産業においては、追加関税分の価格転嫁が大企業の収益悪化を防ぎ、価格上昇が輸出数量に及ぼす影響も限定的であった。結果として、トランプ関税はマクロ経済に負の影響を及ぼしたものの、企業の対応はマクロ経済への影響を大幅に抑制するように働いたといえる。
◆ただし、現地生産・調達の拡大のほか、追加関税分の更なる価格転嫁や契約の見直し等による価格競争力の低下を通じ、輸出数量が減少するリスクは残る。こうした影響は長期に及ぶことから、設備投資や賃上げの停滞によって経済への悪影響が増幅する可能性には注意が必要だ。
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