サマリー
◆2025年度の最低賃金(最賃)引き上げ率は全国加重平均で6.3%と、目安制度開始以降で2番目の高水準になった。だが、「20年代に全国平均1,500円」という石破茂政権の目標達成に必要な年あたり7.3%には届かなかった。6%台前半の引き上げでも中央・地方の審議が難航したことや、今後物価上昇率が低下していく見込みであることに鑑みると、25年度改定を経て、政府目標の達成はますます困難になったとみられる。
◆10月下旬にも誕生する新政権の下で最賃目標を再考することも一案である。参考になるのが、マクロの賃金と比べた相対水準(参照賃金)を目標にするという欧州の取り組みだ。例えば、EUでは賃金中央値の60%や平均賃金の50%を目標とするように加盟国に求めている。日本のような絶対額目標に比べて分かりにくい半面、経済実態を反映しやすく、毎年度の引き上げ額の予見可能性も高いという点で優れている。
◆参照賃金をどのように設定するかは、各国の労働市場のあり方などに合わせて検討されるべきだ。給与総額に占める特別給与の割合が大きく、また雇用形態間の賃金格差も大きい、という日本の特徴を考慮すれば、参照賃金は全労働者の、特別給与を含むベースの賃金中央値に、60%や2/3を乗じた水準が望ましそうだ。ただし、日本の最賃はすでにそうした水準をおおむね達成している。新政権には、積極的な引き上げの必要性の有無も含め、望ましい最賃政策のあり方を議論することが期待される。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
2026年4月全国消費者物価
高校授業料や小学校給食費の実質無償化によりサービス価格が抑制
2026年05月22日
-
2026年4月貿易統計
中東情勢の影響が数量・価格両面で本格化も収支黒字が継続
2026年05月21日
-
2026年3月機械受注
船電除く民需は前月の反動で減少したが、複数の大型案件が下支え
2026年05月21日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
超富裕層の株式譲渡所得への税率はミニマムタックス込みで最高35.63%に
2026年度税制改正大綱解説(3)富裕層課税(ミニマムタックス)
2026年02月09日
-
いまさら人には聞けない 大量保有報告(5%ルール)のQ&A 【改訂版】
2024年金商法等改正法(2026年5月1日適用開始)を反映
2026年04月03日
-
検討進むガバナンス・コード改訂:2月案と4月案の相違点は
「解釈指針」は原則と一体という記述は削除。現預金への注目を避ける修文。
2026年04月10日
-
企業が意識すべきCGコード改訂案のインプリケーション
「金融資産」「実物資産」がコードに入った意味
2026年04月16日
-
日本経済見通し(2026年4月)
中東情勢緊迫による景気下振れリスク上昇で4月利上げは見送りか
2026年04月21日
超富裕層の株式譲渡所得への税率はミニマムタックス込みで最高35.63%に
2026年度税制改正大綱解説(3)富裕層課税(ミニマムタックス)
2026年02月09日
いまさら人には聞けない 大量保有報告(5%ルール)のQ&A 【改訂版】
2024年金商法等改正法(2026年5月1日適用開始)を反映
2026年04月03日
検討進むガバナンス・コード改訂:2月案と4月案の相違点は
「解釈指針」は原則と一体という記述は削除。現預金への注目を避ける修文。
2026年04月10日
企業が意識すべきCGコード改訂案のインプリケーション
「金融資産」「実物資産」がコードに入った意味
2026年04月16日
日本経済見通し(2026年4月)
中東情勢緊迫による景気下振れリスク上昇で4月利上げは見送りか
2026年04月21日

