サマリー
◆2022年3月の貿易統計によると、輸出金額は前年比+14.7%と13カ月連続で増加したものの、コンセンサス(同+17.3%)を下回った。輸入金額はエネルギー価格の高騰などを背景に同+31.2%と大幅増が続いている。これを受け、貿易収支は▲4,124億円(季節調整値では▲8,998億円)となった。2022年1-3月期の実質GDP成長率における外需寄与度は、新型コロナウイルスワクチン輸入などの増加によりマイナスに転じるとみている。
◆3月の輸出数量(大和総研による季節調整値)は前月比+0.8%と、2カ月連続で小幅に増加した。米国向け(同+14.7%)やEU向け(同+20.8%)が急増した一方、アジア向け(同▲5.7%)は減少に転じた。
◆先行きの輸出数量は足踏みが継続するとみている。中国では新型コロナウイルスの新規感染者数の増加が続き、欧米では高インフレやウクライナ危機に対する懸念が強まっている。いずれの地域も不安材料を抱えており、日本からの輸出が伸びにくい状況が続くだろう。ウクライナ危機については、ロシアへの輸出の減少よりも、ロシアへの依存度が高い重要品目の輸入が減少し、国内の基幹産業のサプライチェーンに間接的な影響が及ぶ可能性を注視すべきだろう。
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