サマリー
◆2021年6月の貿易統計によると、輸出金額は前年比+48.6%と大幅に増加した。これまで全体をけん引してきたアジア向けや、持ち直しの兆しが見られていたEU向けの弱さが悪材料であったものの、既に景気回復が軌道に乗った米国向けが全体を押し上げた点は評価できよう。他方、供給制約などを背景に2021年4-6月期の貿易収支は+114億円(季節調整値)と小幅な黒字にとどまり、1-3月期の+9,113億円(同)を大きく下回った。
◆輸出数量(大和総研による季節調整値)は前月比+2.8%と2カ月ぶりに増加した。地域別に見ると、EU向け(同▲4.9%)やアジア向け(同▲1.4%)は減少した一方、米国向け(同+3.7%)が全体をけん引した。
◆先行きの輸出は増加が続くとみている。中国向け輸出は旺盛なインフラ投資需要を背景に高水準で推移するほか、足踏み状態にあった欧米向け輸出も増加に向かうだろう。総じてみれば好調さを維持するとみられる一方、感染力の強い新型コロナウイルス変異株(デルタ株)の拡大や半導体不足による供給制約などのほか、各地域に特有のリスク要因が散在する点には注意が必要だ。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
2021年5月貿易統計
輸出数量は中国向けが減少も、欧米向けが好調
2021年06月16日
-
2021年4月貿易統計
中国向けがけん引し、輸出金額は米中貿易摩擦前の水準へ
2021年05月20日
-
2021年3月貿易統計
輸出金額は特殊要因で減少した前月から大幅に増加
2021年04月19日
同じカテゴリの最新レポート
-
2025年4月全国消費者物価
エネルギー高対策の補助縮小や食料価格高騰が物価を押し上げ
2025年05月23日
-
AI時代の日本の人的資本形成(個人編)
AI時代を生き抜くキャリア自律に向けた戦略
2025年05月22日
-
2025年3月機械受注
民需(船電除く)は事前予想に反して2カ月連続で増加
2025年05月22日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
「相互関税」による日本の実質GDPへの影響は最大で▲1.8%
日本に対する相互関税率は24%と想定外に高い水準
2025年04月03日
-
「相互関税」を受け、日米欧中の経済見通しを下方修正
2025年の実質GDP成長率見通しを0.4~0.6%pt引き下げ
2025年04月04日
-
米国による25%の自動車関税引き上げが日本経済に与える影響
日本の実質GDPを0.36%押し下げる可能性
2025年03月27日
-
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
-
日本経済見通し:2025年3月
トランプ関税で不確実性高まる中、25年の春闘賃上げ率は前年超えへ
2025年03月24日
「相互関税」による日本の実質GDPへの影響は最大で▲1.8%
日本に対する相互関税率は24%と想定外に高い水準
2025年04月03日
「相互関税」を受け、日米欧中の経済見通しを下方修正
2025年の実質GDP成長率見通しを0.4~0.6%pt引き下げ
2025年04月04日
米国による25%の自動車関税引き上げが日本経済に与える影響
日本の実質GDPを0.36%押し下げる可能性
2025年03月27日
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
日本経済見通し:2025年3月
トランプ関税で不確実性高まる中、25年の春闘賃上げ率は前年超えへ
2025年03月24日