サマリー
◆2020年8月の完全失業率(季節調整値)は3.0%(前月差+0.1%pt)と、2ヶ月連続で上昇した。内訳を見ると、就業者は同+11万人、失業者は同+9万人とともに増加した。就業者のうち、雇用者数は同+13万人と2ヶ月連続で増加したが、新型コロナウイルス感染拡大の影響が本格化する前の3月に比べれば、依然110万人以上少ない水準にとどまる。
◆8月の有効求人倍率(季節調整値)は前月から0.04pt低下して1.04倍となり、新規求人倍率(同)は前月から0.10pt上昇して1.82倍となった。新規求人数は多くの業種で増加が見られる一方で、「宿泊業,飲食サービス業」等一部のサービス業では減少しており、労働需要回復の鈍さが目立った。
◆先行きの雇用環境は悪化が続くとみている。失業率は上昇し、有効求人倍率は低下しよう。国内外での経済活動の再開を受けて企業の事業環境は5月頃を底に改善している。ただし、感染再拡大のリスクが小さくない中で景気の本格回復は見込みにくく、労働需要の回復は緩やかなものにとどまりそうだ。企業収益はコロナショック前から下振れした状態が続き、これまで雇用を維持してきた企業でも雇用調整の動きが広がるとみられる。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
2025年4月全国消費者物価
エネルギー高対策の補助縮小や食料価格高騰が物価を押し上げ
2025年05月23日
-
AI時代の日本の人的資本形成(個人編)
AI時代を生き抜くキャリア自律に向けた戦略
2025年05月22日
-
2025年3月機械受注
民需(船電除く)は事前予想に反して2カ月連続で増加
2025年05月22日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
「相互関税」による日本の実質GDPへの影響は最大で▲1.8%
日本に対する相互関税率は24%と想定外に高い水準
2025年04月03日
-
「相互関税」を受け、日米欧中の経済見通しを下方修正
2025年の実質GDP成長率見通しを0.4~0.6%pt引き下げ
2025年04月04日
-
米国による25%の自動車関税引き上げが日本経済に与える影響
日本の実質GDPを0.36%押し下げる可能性
2025年03月27日
-
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
-
日本経済見通し:2025年3月
トランプ関税で不確実性高まる中、25年の春闘賃上げ率は前年超えへ
2025年03月24日
「相互関税」による日本の実質GDPへの影響は最大で▲1.8%
日本に対する相互関税率は24%と想定外に高い水準
2025年04月03日
「相互関税」を受け、日米欧中の経済見通しを下方修正
2025年の実質GDP成長率見通しを0.4~0.6%pt引き下げ
2025年04月04日
米国による25%の自動車関税引き上げが日本経済に与える影響
日本の実質GDPを0.36%押し下げる可能性
2025年03月27日
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
日本経済見通し:2025年3月
トランプ関税で不確実性高まる中、25年の春闘賃上げ率は前年超えへ
2025年03月24日