サマリー
◆2020年8月の全国コアCPI(除く生鮮食品)上昇率は前年比▲0.4%と前月(同+0.0%)から下落に転じ、市場予想通りの結果となった。物価の基調を示す新コアコアCPI(除く生鮮食品、エネルギー)上昇率は同▲0.1%と前月から0.5%pt低下し、2017年3月以来の前年割れとなった。
◆コアCPIを品目別に見ると、ガソリンや灯油などのエネルギー価格は前月に続いて前年比マイナス幅が縮小したものの、サービス価格の急落分がこれを上回った。サービスではGo Toトラベルキャンペーンの値引き効果が8月に表れたことで「宿泊料」が大幅に低下し、一品目でコアCPI上昇率を前月から前年比0.4%pt押し下げた。耐久消費財では、前月に全体を押し上げた「電気炊飯器」などの価格上昇が鈍化した。
◆先行きの全国コアCPIの前年比伸び率は、マクロの需給バランスの改善が遅れることなどによりマイナス圏での推移となろう。とりわけ10月以降は、消費増税などの押し上げ効果(前年比+0.3%pt程度)の剥落とGo Toキャンペーンの東京都への適用拡大が重なり、マイナス幅が急拡大する可能性が高い。
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