2020年5月貿易統計

輸出金額はリーマン・ショック以来の水準まで落ち込む

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2020年06月17日

  • 鈴木 雄大郎
  • 小林 俊介

サマリー

◆2020年5月の貿易統計によると、輸出金額は前年比▲28.3%と大幅に減少し、コンセンサス(同▲26.1%)を僅かに下回った。水準で見ると、2009年5月以来の低さである。5月中旬以降、欧米各国ではロックダウン措置等が段階的に緩和されたものの、予想以上の落ち込みとなった。

◆輸出数量(大和総研による季節調整値)は前月比▲7.6%と3ヶ月連続で減少した。地域別に見ると、米国向け(同▲11.0%)、EU向け(同▲11.1%)、アジア向け(同▲5.1%)といずれも減少している。

◆5月の輸入数量(大和総研による季節調整値)は前月比▲10.3%と3ヶ月ぶりに減少した。品目別に見ると、マスク等を含む織物用糸・繊維製品が増加した一方、原油及び粗油、鉄鉱石、非鉄金属などの素材が全体を押し下げた。国内における経済活動の自粛による需要の減退が影響したとみられる。

◆先行きの輸出数量は、5月を底に緩やかに増加するとみている。とはいえ、新型コロナウイルス感染症の影響が表れる前の水準まで回復するには相当の時間を要するだろう。主要な最終需要地である欧米では経済活動が段階的に再開されているが、こうした動きが継続すれば輸出も徐々に回復するだろう。ただし、感染再拡大によってロックダウンが再び実施される可能性も十分にある。この場合、輸出の減少基調は継続するだろう。

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