サマリー
◆2020年5月の貿易統計によると、輸出金額は前年比▲28.3%と大幅に減少し、コンセンサス(同▲26.1%)を僅かに下回った。水準で見ると、2009年5月以来の低さである。5月中旬以降、欧米各国ではロックダウン措置等が段階的に緩和されたものの、予想以上の落ち込みとなった。
◆輸出数量(大和総研による季節調整値)は前月比▲7.6%と3ヶ月連続で減少した。地域別に見ると、米国向け(同▲11.0%)、EU向け(同▲11.1%)、アジア向け(同▲5.1%)といずれも減少している。
◆5月の輸入数量(大和総研による季節調整値)は前月比▲10.3%と3ヶ月ぶりに減少した。品目別に見ると、マスク等を含む織物用糸・繊維製品が増加した一方、原油及び粗油、鉄鉱石、非鉄金属などの素材が全体を押し下げた。国内における経済活動の自粛による需要の減退が影響したとみられる。
◆先行きの輸出数量は、5月を底に緩やかに増加するとみている。とはいえ、新型コロナウイルス感染症の影響が表れる前の水準まで回復するには相当の時間を要するだろう。主要な最終需要地である欧米では経済活動が段階的に再開されているが、こうした動きが継続すれば輸出も徐々に回復するだろう。ただし、感染再拡大によってロックダウンが再び実施される可能性も十分にある。この場合、輸出の減少基調は継続するだろう。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
日本経済見通し:2020年5月
産業連関表で読み解く「コロナ禍」-経済的打撃の網羅的整理と展望-
2020年05月22日
-
日本経済見通し:2020年4月
「ウィズ・コロナ時代」の産業インプリケーション
2020年04月21日
関連のレポート・コラム
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
日本経済見通し:2024年2月
2025年度にかけて1%前後のプラス成長と2%インフレを見込む
2024年02月22日
-
ビットコイン現物ETF、日本で組成可能か?
米SEC承認を受けて、日本で導入することの法制度上の是非を考察
2024年02月13日
-
第220回日本経済予測(改訂版)
賃上げの持続力と金融政策正常化の行方①自然利子率の引き上げ、②投資と実質賃金の好循環、を検証
2024年03月11日
-
日本経済見通し:2024年3月
24年の春闘賃上げ率5%超えを受け、日銀はマイナス金利政策を解除
2024年03月22日
-
2024年の日本経済見通し
緩やかな景気回復と金融政策の転換を見込むも海外経済リスクに注意
2023年12月21日
日本経済見通し:2024年2月
2025年度にかけて1%前後のプラス成長と2%インフレを見込む
2024年02月22日
ビットコイン現物ETF、日本で組成可能か?
米SEC承認を受けて、日本で導入することの法制度上の是非を考察
2024年02月13日
第220回日本経済予測(改訂版)
賃上げの持続力と金融政策正常化の行方①自然利子率の引き上げ、②投資と実質賃金の好循環、を検証
2024年03月11日
日本経済見通し:2024年3月
24年の春闘賃上げ率5%超えを受け、日銀はマイナス金利政策を解除
2024年03月22日
2024年の日本経済見通し
緩やかな景気回復と金融政策の転換を見込むも海外経済リスクに注意
2023年12月21日