サマリー
◆【企業部門】2020年4月の企業部門は総じて大きく悪化した。新型感染症拡大を受けた国内外での活動制限・自粛の動きが内外需の減少につながり、企業活動の重しとなった。輸出数量は前月比▲15.1%と2ヶ月連続で減少した。米国向け、EU向け、アジア向け全てが減少した。鉱工業生産指数は工場の稼働停止などの影響もあり、同▲9.8%と大幅に低下した。機械受注(船舶・電力を除く民需)は、同▲12.0%となった。第3次産業活動指数は、同▲6.0%と3ヶ月連続で低下した。「生活娯楽関連サービス」、「運輸業,郵便業」、「小売業」などが前月に続き大幅に低下した。
◆【家計部門】2020年4月の雇用・賃金、個人消費は総じて弱い結果であった。緊急事態宣言を受けた店舗・事業所の休業の増加で労働需要が減少し、家計は不要不急の消費自粛の動きを強めた。就業者数は前月差▲107万人と大幅に減少し、完全失業率は前月から0.1%pt上昇して2.6%となった。労働供給側でも市場から退出する動きが広がったことで、失業者は小幅な増加にとどまった。他方、就業者の中でも休業者(同+412万人)が急増している。現金給与総額は前年同月比▲1.9%と前月から2.1%pt低下し、3ヶ月ぶりに前年割れとなった。個人消費は前月比▲6.2%と2ヶ月連続で減少した。贈与金や仕送り金、旅行・レジャー関連への支出などが減少した。
◆【四半期指標】2020年1-3月期の実質GDP成長率(2次速報)は、前期比年率▲2.2%(前期比▲0.6%)と、1次速報から上方修正された。上方修正の主因は、法人企業統計の結果を受けた民間企業設備であった。2020年1-3月期の法人企業統計によると、全産業(金融業、保険業除く)の売上高は前期比+1.9%と5四半期ぶりの増収、経常利益は同▲11.6%と4四半期連続の減益となった。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
2025年8月消費統計
サービス消費が強く、総じて見れば前月から小幅に増加
2025年10月07日
-
財政悪化が日本経済にもたらす影響とリスクの定量評価
成長力強化と財政健全化で将来の財政危機発生リスクの抑制を
2025年10月07日
-
日本財政の論点 – PB赤字と政府債務対GDP比低下両立の持続性
インフレ状態への移行に伴う一時的な両立であり、その持続性は低い
2025年10月06日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
第226回日本経済予測(改訂版)
低成長・物価高の日本が取るべき政策とは?①格差問題、②財政リスク、を検証
2025年09月08日
-
聖域なきスタンダード市場改革議論
上場維持基準などの見直しにも言及
2025年09月22日
-
今後の証券業界において求められる不正アクセス等防止策とは
金融庁と日本証券業協会がインターネット取引の新指針案を公表
2025年09月01日
-
日本経済見通し:2025年9月
トランプ関税で対米輸出が大幅減、製造業や賃上げ等への影響は?
2025年09月25日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
第226回日本経済予測(改訂版)
低成長・物価高の日本が取るべき政策とは?①格差問題、②財政リスク、を検証
2025年09月08日
聖域なきスタンダード市場改革議論
上場維持基準などの見直しにも言及
2025年09月22日
今後の証券業界において求められる不正アクセス等防止策とは
金融庁と日本証券業協会がインターネット取引の新指針案を公表
2025年09月01日
日本経済見通し:2025年9月
トランプ関税で対米輸出が大幅減、製造業や賃上げ等への影響は?
2025年09月25日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日