サマリー
◆2020年2月の完全失業率(季節調整値)は2.4%と、前月から横ばいとなった。内訳を見ると、失業者数は前月差+2万人と増加した一方で、就業者数も同+3万人と増加した。新型コロナウイルス(以下、新型コロナ)感染拡大で日本経済は悪化傾向を強めているが、2月末時点では、失業率の上昇や就業者数の減少は生じていないようだ。ただし、就業者の月間就業日数や月間就業時間は顕著に減少している。新型コロナの流行による経済活動の停滞に対して企業は、就業日数の調整や就業時間の短縮などで対応している可能性がある。
◆2月の有効求人倍率(季節調整値)は前月から0.04pt低下し、1.45倍となった。新規求人数は2ヶ月ぶりに増加したが、前月の急減の影響が残った結果、有効求人数は減少した。
◆先行きの労働需給は、労働供給の減少を上回るペースで需要が弱まり、悪化に向かうとみている。失業率は上昇を始め、有効求人倍率は低下基調を続けよう。労働需要は、新型コロナ感染拡大の影響を受けやすい業種での企業業績の大幅な下振れを背景に、急速に減退していく公算が大きい。政府はすでに雇用調整助成金の適用範囲の拡大など、雇用維持に向けた措置に着手しているものの、業況の悪化が続く中で、人員削減や新規雇用の抑制に踏み切る企業が多く現れよう。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
2025年6月消費統計
需要側統計は弱いが供給側は強く、総じて見れば前月から小幅に増加
2025年08月08日
-
消費データブック(2025/8/4号)
個社データ・業界統計・JCB消費NOWから消費動向を先取り
2025年08月04日
-
既に始まった生成AIによる仕事の地殻変動
静かに進む、ホワイトカラー雇用の構造変化
2025年08月04日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
2025年度の最低賃金は1,100円超へ
6%程度の引き上げが目安か/欧州型目標の扱いや地方での議論も注目
2025年07月16日
-
のれんの償却・非償却に関する議論の展望
2025年07月07日
-
日本経済見通し:2025年7月
25年の賃上げは「広がり」の面でも改善/最低賃金の目安は6%程度か
2025年07月22日
-
対日相互関税率は15%で決着へ-実質GDPへの影響は短期で▲0.5%、中期で▲1.2%-
相互関税以外の関税措置も含めると実質GDPは中期で3.2%減少
2025年07月23日
-
新たな相互関税率の適用で日本の実質GDPは短期で0.8%、中期で1.9%減少
相互関税以外の関税措置も含めると実質GDPは中期で3.7%減少
2025年07月08日
2025年度の最低賃金は1,100円超へ
6%程度の引き上げが目安か/欧州型目標の扱いや地方での議論も注目
2025年07月16日
のれんの償却・非償却に関する議論の展望
2025年07月07日
日本経済見通し:2025年7月
25年の賃上げは「広がり」の面でも改善/最低賃金の目安は6%程度か
2025年07月22日
対日相互関税率は15%で決着へ-実質GDPへの影響は短期で▲0.5%、中期で▲1.2%-
相互関税以外の関税措置も含めると実質GDPは中期で3.2%減少
2025年07月23日
新たな相互関税率の適用で日本の実質GDPは短期で0.8%、中期で1.9%減少
相互関税以外の関税措置も含めると実質GDPは中期で3.7%減少
2025年07月08日