サマリー
◆2020年2月の貿易統計によると、輸出金額は前年比▲1.0%と減少したもののコンセンサス(同▲4.2%)を上回った。季節調整値で見ると、前月比+3.4%と2ヶ月ぶりに増加した。
◆輸入金額は前年比▲14.0%と数量の大幅な減少を背景に10ヶ月連続で前年割れとなった。季節調整値で見ても前月比▲6.1%と7ヶ月連続で減少した。減少の要因は、新型コロナ感染拡大によって、中国からの輸入が半減したことに加え、2月下旬から始まった国内での経済活動自粛の影響もあったとみられる。
◆輸出数量(大和総研による季節調整値)は前月比+4.3%と2ヶ月ぶりに増加した。地域別に見ると、米国向け(同+5.4%)、アジア向け(同+4.8%)は増加し、EU向けは横ばいであった。2月までは新型コロナ感染者の増加は特に中国で見られたため、中国向け以外への輸出における新型コロナの影響は軽微であったとみられる。アジア向けは春節の時期のずれによって増加した可能性もある。1-2月を均して19年10-12月対比で見ると、▲5.2%と減少基調が続いている。
◆先行きの輸出数量は、当面は新型コロナの影響によって減少が見込まれる。2月の輸出では、新型コロナの影響が表れていないものの、3月以降は各国向けとも顕在化するだろう。足元では、欧州や米国において感染者数が急増しており、経済活動の自粛によって最終需要が消失することによって輸出が落ち込むことも想定される。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
日本経済見通し:2020年2月
新型コロナ問題の本質 / 業績悪化懸念下でも株高現象の正体
2020年02月21日
-
2020年の日本経済見通し
成長再加速に向けて鍵を握る、グローバルな製造業の回復シナリオ
2019年12月19日
関連のレポート・コラム
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
日本経済見通し:2024年2月
2025年度にかけて1%前後のプラス成長と2%インフレを見込む
2024年02月22日
-
ビットコイン現物ETF、日本で組成可能か?
米SEC承認を受けて、日本で導入することの法制度上の是非を考察
2024年02月13日
-
第220回日本経済予測(改訂版)
賃上げの持続力と金融政策正常化の行方①自然利子率の引き上げ、②投資と実質賃金の好循環、を検証
2024年03月11日
-
日本経済見通し:2024年3月
24年の春闘賃上げ率5%超えを受け、日銀はマイナス金利政策を解除
2024年03月22日
-
2024年の日本経済見通し
緩やかな景気回復と金融政策の転換を見込むも海外経済リスクに注意
2023年12月21日
日本経済見通し:2024年2月
2025年度にかけて1%前後のプラス成長と2%インフレを見込む
2024年02月22日
ビットコイン現物ETF、日本で組成可能か?
米SEC承認を受けて、日本で導入することの法制度上の是非を考察
2024年02月13日
第220回日本経済予測(改訂版)
賃上げの持続力と金融政策正常化の行方①自然利子率の引き上げ、②投資と実質賃金の好循環、を検証
2024年03月11日
日本経済見通し:2024年3月
24年の春闘賃上げ率5%超えを受け、日銀はマイナス金利政策を解除
2024年03月22日
2024年の日本経済見通し
緩やかな景気回復と金融政策の転換を見込むも海外経済リスクに注意
2023年12月21日