サマリー
◆2019年9月の完全失業率(季節調整値)は、前月から0.2%pt上昇し、2.4%となった。労働参加が進んだものの就業に結びつかず、悪い内容であったと言える。雇用者数の動きを雇用形態別に見ると、正規は前月差▲30万人と大幅に減少した。
◆9月の有効求人倍率(季節調整値)は前月から0.02pt低下し、1.57倍となった。また、新規求人倍率(同)は前月差▲0.17ptの2.28倍となった。足元で求職者数が横ばい圏で推移している一方で、求人数は減少しつつあり、労働需要の弱さが求人倍率の低下につながっている。
◆8月の現金給与総額(共通事業所)は前年比▲0.0%と2ヶ月連続で前年を下回った。就業形態別に見ると、一般労働者は前年比+0.1%と増加した一方で、パートタイム労働者は同▲0.7%と減少した。景気回復のペース鈍化が賃金に影響を及ぼし始めている可能性がある。
◆先行きの労働需給に関しては、需要側・供給側とも弱い動きとなる中で、失業率、有効求人倍率はともに横ばい圏で推移するとみている。賃金の伸び率は上下に振れながらもゼロ%台半ば程度で推移するとみている。外需の弱まりから業況が悪化している製造業は、すでに人手不足感が一部緩和している。非製造業は依然として労働需要が強い状況にあるが、2019年10月の消費増税の影響や製造業の不振が飛び火し、業況が下振れする可能性に注意が必要だ。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
2025年7月機械受注
金融業・保険業、不動産業などの受注減で軟調な結果
2025年09月18日
-
2025年8月貿易統計
トランプ関税や半導体需要減の影響継続で輸出金額は4カ月連続減少
2025年09月17日
-
トランプ関税でインバウンドに黄色信号
中国人旅行客の伸びしろは大きいものの、他国の状況は厳しい
2025年09月16日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
2025年度の最低賃金は1,100円超へ
6%程度の引き上げが目安か/欧州型目標の扱いや地方での議論も注目
2025年07月16日
-
2025年ジャクソンホール会議の注目点は?
①利下げ再開の可能性示唆、②金融政策枠組みの見直し
2025年08月20日
-
既に始まった生成AIによる仕事の地殻変動
静かに進む、ホワイトカラー雇用の構造変化
2025年08月04日
-
米雇用者数の下方修正をいかに解釈するか
2025年7月米雇用統計:素直に雇用環境の悪化を警戒すべき
2025年08月04日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
2025年度の最低賃金は1,100円超へ
6%程度の引き上げが目安か/欧州型目標の扱いや地方での議論も注目
2025年07月16日
2025年ジャクソンホール会議の注目点は?
①利下げ再開の可能性示唆、②金融政策枠組みの見直し
2025年08月20日
既に始まった生成AIによる仕事の地殻変動
静かに進む、ホワイトカラー雇用の構造変化
2025年08月04日
米雇用者数の下方修正をいかに解釈するか
2025年7月米雇用統計:素直に雇用環境の悪化を警戒すべき
2025年08月04日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日