2016年8月全国消費者物価

日銀参考系列のプラス幅縮小が継続

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2016年09月30日

  • 金融調査部 主任研究員 長内 智
  • 前田 和馬
  • 小林 俊介

サマリー

◆2016年8月の全国コアCPI(除く生鮮食品、以下コアCPI)は前年比▲0.5%となり、市場コンセンサス(同▲0.4%)を小幅に下回った。コアCPIは6ヶ月連続の前年比マイナスと弱い動きが続いており、日本銀行の2%のインフレ目標や政府の目指す「デフレ脱却」には程遠い状況にある。


◆2016年9月の東京都区部コアCPI(中旬速報値)は、前年比▲0.5%(8月:同▲0.4%)と7ヶ月連続のマイナスとなった。前月からの寄与度の変化を確認すると、「耐久消費財」と「半耐久消費財」が全体を押し下げた。一方、「コア非耐久消費財(除く生鮮食品)」は小幅に押し上げ、「サービス」はほぼ横ばいであった。


◆先行きのコアCPIの前年比は、引き続き円高(物価押し下げ要因)と2月半ば以降の原油高(物価押し上げ要因)という逆方向の影響がせめぎ合う中で、小幅なマイナス圏での推移がしばらく続くと想定している。ただし、足下の輸入価格指数は下げ止まりつつあり、輸入を通じた消費者物価の下押し圧力は、ラグを伴いながら徐々に緩和する見込みである。当社は、コアCPIが明確にプラス転換する時期は年末以降になるとみている。

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