サマリー
◆4月1日に公表予定の2014年3月日銀短観において、大企業・製造業の業況判断DI(最近)は19%pt(前回調査からの変化幅:+3%pt)、大企業・非製造業の業況判断DI(最近)は23%pt(同:+3%pt)と、それぞれ改善を予想する。
◆製造業では、新車販売が好調な「自動車」、白物家電などの売上が増加している「電気機械」、住宅建築の増加に伴い需要が増加している「窯業・土石製品」、「金属製品」などの業種で、増税前の駆け込み需要が業況感を押し上げる見込みである。
◆業況判断DIの先行きに関しては、消費税増税の影響を見据えて、大幅な悪化が示されるだろう。しかし、見通しの悪化は、必ずしも2014年4月以降の業況感の悪化を意味しないことに注意が必要である。1997年3月時点の業況判断DIの先行きでは、すべての業種、規模で大幅な悪化が示されたが、1997年6月の大企業製造業、中小企業製造業の業況判断DIは改善した。先行きの見通し数値と、実現する数値の間には、乖離が大きいことを認識しておく必要がある。
◆2014年度の設備投資計画(全規模・全産業)は、前年比▲0.7%を予想する。大企業製造業では、海外経済の回復を受けた輸出向け売上の増加を背景に、前年比+2.7%の増加を見込む。大企業非製造業でも、内需拡大を背景とした業績の改善に伴い、設備投資は増加が続く可能性が高い。
◆リーマン・ショック以降、低水準での推移が続いていた設備投資は、足下で徐々に改善傾向にある。設備投資の先行指標である機械受注統計などを見ても改善が続いており、2014年度以降設備投資は増加基調が続く見込みである。改善の続く企業収益を背景に、賃上げや設備投資などを積極的に行う企業が増加することで、生産性の上昇やさらなる経済の循環的改善が期待できる。2014年度の設備投資計画は、経済の好循環が起こるか否かの、一つのメルクマールになると言えよう。
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