サマリー
◆【業績概要】製造業の経常減益が続く:2011年10-12月期の法人企業統計は、(1)海外経済の減速、(2)タイの大洪水、(3)歴史的な円高、(4)資源価格の高止まりなどによって、東日本大震災後の企業業績の改善に足踏みがみられるという内容であった。ただし、当社では、輸出関連製造業の業績下振れと「電気業」の大幅経常赤字については、事前に予想していたことから、今回の結果は想定内と捉えている。
◆【業績見通し】1-3月期は為替がプラスに寄与する可能性:企業の2012年1-3月期の業績は、海外経済の減速が引き続き業績の重石となるものの、総じて見れば底堅く推移すると見込む。(1)堅調な回復が続く生産活動、(2)日本銀行の金融緩和策の強化などによって円高圧力が幾分低下したこと、(3)今後本格化してくる復興需要、(4)緩やかな改善傾向にある個人消費、が企業業績を下支えすると考えるためである。
◆【設備投資動向】非製造業が大きく伸びる:全産業の設備投資(ソフトウェア除く)は前期比+11.9%と5四半期振りの増加となった。製造業が前期比+4.2%と2四半期連続で堅調に伸びたことに加えて、非製造業が同+16.5%と過去最大の伸びとなり、全体を押し上げた。
◆【GDP予測】10-12月期GDP統計は上方修正:今回の法人企業統計の結果を受けて、2011年10-12月期GDP統計は1次速報から上方修正される見通しである。実質GDP成長率は前期比▲0.1%(1次速報は同▲0.6%)、年率▲0.4%(1次速報は同▲2.3%)になると予想する。
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