サマリー
◆全国コアCPIは前年割れ:10月の全国コアCPI(除く生鮮食品)は前年比▲0.1%となり、市場予想(同▲0.1%)通りの結果となった。前年割れの主な背景には、昨年10月に値上げされた、たばこと傷害保険料の押し上げ効果(2品目で計0.34%pt)が、1年を経過して剥落したことが挙げられる。
◆季節調整値は、消費の弱含みを示唆:季節調整値の動きを見ると、エネルギー価格の押し上げ幅が縮小していることを背景に、全国コアCPIは9月に引き続き下落基調にある。また、全国コアコアCPIが前月比▲0.4%と下落幅が前月(同▲0.2%)から拡大していることから、この下落基調はマクロ需給改善の足踏みによる、ラグを伴った影響と考えられる。
◆今後の見通し:東京都区部等の動きから、11月の全国コアCPIは前年比▲0.1%程度になると予想している。エネルギー価格上昇による影響は、足元限定的となっている。10月後半からエネルギー価格が押し上げているものの、現在の水準で推移すれば、前年比でみたエネルギーの押し上げ幅は来年初めから急速に縮小する見込みだ。それに伴って、全国コアCPIの下落幅は拡大していくものと思われる。また今後は引き続き、復興需要の後ズレと円高・海外経済の減速に伴う雇用・所得環境への影響に注目する必要がある。金融政策について、日本銀行は震災や円高に対応して当面は緩和的な金融スタンスを強めていくだろう。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
2025年9月日銀短観予想
製造業で業況判断DI(最近)は改善も、先行きへの警戒感は強い
2025年09月10日
-
2025年4-6月期GDP(2次速報)
実質GDP成長率は前期比年率+2.2%に高まるも民間在庫などが主因
2025年09月08日
-
一億自己啓発社会の死角
データが示す、転職志向・子育て・ジェンダーにおける格差
2025年09月05日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
2025年度の最低賃金は1,100円超へ
6%程度の引き上げが目安か/欧州型目標の扱いや地方での議論も注目
2025年07月16日
-
2025年ジャクソンホール会議の注目点は?
①利下げ再開の可能性示唆、②金融政策枠組みの見直し
2025年08月20日
-
既に始まった生成AIによる仕事の地殻変動
静かに進む、ホワイトカラー雇用の構造変化
2025年08月04日
-
米雇用者数の下方修正をいかに解釈するか
2025年7月米雇用統計:素直に雇用環境の悪化を警戒すべき
2025年08月04日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
2025年度の最低賃金は1,100円超へ
6%程度の引き上げが目安か/欧州型目標の扱いや地方での議論も注目
2025年07月16日
2025年ジャクソンホール会議の注目点は?
①利下げ再開の可能性示唆、②金融政策枠組みの見直し
2025年08月20日
既に始まった生成AIによる仕事の地殻変動
静かに進む、ホワイトカラー雇用の構造変化
2025年08月04日
米雇用者数の下方修正をいかに解釈するか
2025年7月米雇用統計:素直に雇用環境の悪化を警戒すべき
2025年08月04日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日