サマリー
◆ユーロ圏の2023年7-9月期の実質GDP成長率(速報値)は前期比▲0.1%と3四半期ぶりのマイナス成長となり、市場予想(前期比0.0%)をわずかに下回った。もっとも、各種月次統計などからユーロ圏経済の停滞は事前に確認されていたことに加えて、ユーロ圏GDPの前日に公表されたドイツのGDPがマイナス成長となっていたことから、概ね想定内の結果といえる。
◆国別では、ドイツが前期比▲0.1%と2四半期ぶりのマイナス成長に転じたことに加え、アイルランドが同▲1.8%と大幅なマイナスとなり全体を押し下げた。一方、フランス(同+0.1%)、スペイン(同+0.3%)はプラス成長となり、イタリアは前期から横ばいであった。
◆現時点で需要項目別の内訳が判明しているフランス、スペインの結果を確認すると、両国とも個人消費を中心に国内最終需要が堅調な結果となる半面、輸出の減少がGDPを押し下げた。他方、ドイツでは詳細がまだ明らかになっていないものの、個人消費の減少が報告されている。
◆ユーロ圏の景況感指数は10月も低下が続いており、単純に現状の景況感指数の動きに照らせば、10-12月期のGDPも高い成長は見込み難い。ただし、足元でインフレ率が鈍化ペースを速めていることは好材料であり、実質所得の増加に伴う個人消費の増加を起点に、欧州経済は徐々に回復へ向かうという見通しに変更はない。
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