サマリー
◆新型コロナウイルス感染拡大とそれに伴う「ロックダウン(都市封鎖)」が欧州経済に及ぼした悪影響は予想以上に大きかった。ユーロ圏の2020年1-3月期の成長率(速報値)は前期比-3.8%(年率換算-14.4%)となり、1995年の統計開始以来で最大の落ち込みとなった。4月下旬からロックダウンを一部解除する動きが出てきているが、拙速な解除で感染が再度拡大することも強く警戒されており、その解除は慎重に段階的に進めざるを得ない。4-6月期の成長率は1-3月期よりもさらに大幅に落ち込むと予想される。
◆4月30日のECB理事会ではユーロ圏の2020年の成長率予想を-5%~-12%と非常に幅を持たせており、新型コロナウイルスの影響の見通しづらさが端的に表れている。ECBは3月の定例理事会のあと、資産購入プログラムの拡大、担保要件の緩和などに動いてきたが、4月30日の定例理事会では銀行に対する資金供給を一段と強化した。欧州の金融システムが間接金融を中心にしている中で、銀行の資金仲介機能をバックアップするねらいがある。また今後、資産購入プログラムの一段の拡充など追加的な緩和措置を講じる可能性は高いだろう。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
7-9月期ユーロ圏GDP 緩やかな成長が継続
フランスの成長ペースが加速し、市場予想からはわずかに上振れ
2025年10月31日
-
欧州経済見通し フランスの政治不安は一服
ただし予断は許されず、予算協議が次の焦点
2025年10月21日
-
欧州経済見通し 利下げ終了後の注目点
関税リスクは後退、財政悪化・金利上昇が新たなリスクに
2025年09月24日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
第226回日本経済予測(改訂版)
低成長・物価高の日本が取るべき政策とは?①格差問題、②財政リスク、を検証
2025年09月08日
-
聖域なきスタンダード市場改革議論
上場維持基準などの見直しにも言及
2025年09月22日
-
今後の証券業界において求められる不正アクセス等防止策とは
金融庁と日本証券業協会がインターネット取引の新指針案を公表
2025年09月01日
-
日本経済見通し:2025年9月
トランプ関税で対米輸出が大幅減、製造業や賃上げ等への影響は?
2025年09月25日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
第226回日本経済予測(改訂版)
低成長・物価高の日本が取るべき政策とは?①格差問題、②財政リスク、を検証
2025年09月08日
聖域なきスタンダード市場改革議論
上場維持基準などの見直しにも言及
2025年09月22日
今後の証券業界において求められる不正アクセス等防止策とは
金融庁と日本証券業協会がインターネット取引の新指針案を公表
2025年09月01日
日本経済見通し:2025年9月
トランプ関税で対米輸出が大幅減、製造業や賃上げ等への影響は?
2025年09月25日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日

