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2019年英国総選挙のリスクシナリオ②

コービン政権誕生だけが通貨ポンドの下振れリスクではない

2019年11月29日

ロンドンリサーチセンター シニアエコノミスト(LDN駐在) 菅野 泰夫

サマリー

◆12月12日の英国総選挙に向け、各政党のマニフェストが順次発表されている。保守党のマニフェストには、2020年1月末にブレグジットを実現し、EUとの通商協定交渉に移ること、そして2020年末に期限を迎える移行期間を延長しないことが明記されている。通商協定が2020年末までに締結されなければ、合意なき離脱の危険性が再び浮上することになる。

◆マニフェストで最も注目されたのは、主要政党のほとんどが公的支出拡大を約束したことであろう。特に保守党は2010年に政権を奪取した後、9年間続けた緊縮財政から一転し、道路や学校など、新たな公共投資を拡大する政策を打ち出している。このように主要政党が財政拡大を打ち出して争われる選挙は1960年代のウィルソン首相時代以来、約50年ぶりという珍しい状況となっている。

◆コービン政権が誕生すれば、鉄道会社やエネルギー会社が時価より低い価格で国有化されたり、金融取引税が導入され、合併・買収への規制が厳格化されるほか、資本規制までもが導入される可能性がある。そうなれば英国に集積した金融資産は瞬く間に他国に移されるであろう。ただ今回の選挙で、保守党が緊縮財政から拡大財政に転じたのは明らかであり、マニフェストの発表前には公共投資の拡大のみならず、法人税減税や、所得税や燃料税などの引下げ方針も示していた。どちらが政権を握るにしても、英国では財政面での不確実性が当面続き、通貨ポンドの下振れリスクが生じることが予想される。

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