サマリー
◆10月22日の第2読会での離脱協定法案の採決では、329票(賛成)対299票(反対)で可決された。ただ続いて行われた、110ページに及ぶ同法案をわずか3日の審議で下院を通過させるプログラム動議(同法案の審議を大幅に短縮する内容)の採決は308票(賛成)対322票(反対)で否決された。これにより審議日程の短縮は不可能となり、ジョンソン首相が執着していた、期限内の合意ありの離脱がほぼ絶望的となった。
◆合意なき離脱を牽制するEU側としても、自身でそのトリガーを引くことを避けたいに違いない。現段階のEU側の延期協議では、①2020年1月末までの延期(ただし離脱協定案が英国議会で承認された段階で、翌月1日に延期期間終了)、②2019年11月30日までの短期延期、の2つのパターンを検討しているとされている。
◆離脱協定法案の委員会ステージでは、国民投票実施の条件を付けることや、(政治宣言の中で)EUとの関税同盟残留を求めるなど、様々な修正案の提案が予想されている。ただ仮に可決されると、既にEU側と合意した離脱協定の原形をとどめず、離脱が骨抜きとなるリスクが高い。そうなればジョンソン首相は、法案を廃案とし、離脱協定法案に関する信任決議という構図で総選挙に突入する可能性が高い。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
関連のレポート・コラム
最新のレポート・コラム
-
消費データブック(2024/5/2号)
個社データ・業界統計・JCB消費NOWから消費動向を先取り
2024年05月02日
-
FOMC 利下げ開始の先送りを示唆
再利上げには消極的、2024年内の利下げ開始は明言せず
2024年05月02日
-
少数株主保護及びグループ経営に関する情報開示の充実
持分法適用関係についてもCG報告書開示を要請
2024年05月01日
-
ユーロ圏はテクニカルリセッションを脱出
1-3月期GDPは前期比+0.3%、市場予想から上振れ
2024年05月01日
-
新興国通貨安は脱炭素に向けた投資の障害に
~通貨バスケットに連動する債券(WPU連動債)で為替リスクを低減~
2024年05月08日
よく読まれているリサーチレポート
-
日本経済見通し:2024年2月
2025年度にかけて1%前後のプラス成長と2%インフレを見込む
2024年02月22日
-
ビットコイン現物ETF、日本で組成可能か?
米SEC承認を受けて、日本で導入することの法制度上の是非を考察
2024年02月13日
-
第220回日本経済予測(改訂版)
賃上げの持続力と金融政策正常化の行方①自然利子率の引き上げ、②投資と実質賃金の好循環、を検証
2024年03月11日
-
日本経済見通し:2024年3月
24年の春闘賃上げ率5%超えを受け、日銀はマイナス金利政策を解除
2024年03月22日
-
2024年の日本経済見通し
緩やかな景気回復と金融政策の転換を見込むも海外経済リスクに注意
2023年12月21日
日本経済見通し:2024年2月
2025年度にかけて1%前後のプラス成長と2%インフレを見込む
2024年02月22日
ビットコイン現物ETF、日本で組成可能か?
米SEC承認を受けて、日本で導入することの法制度上の是非を考察
2024年02月13日
第220回日本経済予測(改訂版)
賃上げの持続力と金融政策正常化の行方①自然利子率の引き上げ、②投資と実質賃金の好循環、を検証
2024年03月11日
日本経済見通し:2024年3月
24年の春闘賃上げ率5%超えを受け、日銀はマイナス金利政策を解除
2024年03月22日
2024年の日本経済見通し
緩やかな景気回復と金融政策の転換を見込むも海外経済リスクに注意
2023年12月21日