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合意なき離脱を阻止する法案が下院で可決

ジョンソン首相の解散総選挙を求める動議は否決

2019年09月05日

ロンドンリサーチセンター シニアエコノミスト(LDN駐在) 菅野 泰夫

サマリー

◆9月4日、合意なき離脱を阻止する法案は28票差(賛成327票vs反対299票)で、下院で可決され、上院の審議へ回ることになった。英国上院は労働党と自由民主党によって過半数が形成されているため、通常であれば、同法案は滞りなく可決される。ただし、ジョンソン政権を支持する保守党強硬離脱派の上院議員が審議の進行を妨げる姿勢を示しているため、同法案が法制化されるかは現時点では未知数である。特に9月9日以降の停会までに承認しなければ、(同法案も含めて)全ての審議中の法案が廃案になるため、上院は残された日数で同法案を承認しなければならない。

◆また同法案の下院可決を受けて、ジョンソン首相は総選挙を求める動議の提出に踏み切った。ただ、同動議も即日採決されたものの、可決に必要な下院議員の3分の2以上の賛成に足りず、可決には至らなかった。労働党がここまで、離脱日前の総選挙を阻止しようとしている理由として、同法案が上院で可決されたとしても、解散総選挙で保守党が過半数を握れば、離脱日前に廃止することが可能だからだ。

◆総選挙を求める動議が承認されなかった今、ジョンソン首相がどのような手を打つかは不透明である。首相官邸の広報官は、議会がブレグジットの進行を妨げるのであれば、唯一の解決策は総選挙であると断言している。しかし、総選挙の実施が認められなければ、英国民が望んでいること、すなわち10月31日の離脱を実現する道を探すしかないと、合意なき離脱を強行する可能性をほのめかしている。

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