サマリー
◆3月13日、英国議会は、「合意なき離脱を回避する」政府動議を賛成321票vs反対278票で可決した。これにより、英国議会は合意なき離脱を拒否する姿勢を鮮明に示したこととなる。しかしながら同動議は法的拘束力がないため、英国政府は合意なき離脱の可能性を完全に排除する必要はない。法律でもないため、理論的には無視できるが、本当に無視した場合は、政治的な混乱が起こるため、実際に無視することはできないだろう。
◆本動議の採決に先立って「いかなる状況でも合意なき離脱を否定する」スペルマン議員の修正案が僅か4票差で可決されたことは重要な事実として認識すべきであろう。党議拘束をかけないとしてきた政府動議の採決であったが、合意なき離脱の可能性を残すために、メイ首相は急遽この修正案に反対するよう党議拘束をかけた。
◆英国が合意なき離脱をしないためには、①合意を受け入れるか、②ブレグジット自体をキャンセルするか、③離脱期限を延長するかのいずれかを選択することが求められる。バルニエ首席交渉官は、英国がアクシデント的に合意なき離脱に陥る可能性が日増しに高まっているとし、そのリスクと影響を過小評価すべきではないと欧州議会にて述べている。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
欧州経済見通し フランスの政治不安は一服
ただし予断は許されず、予算協議が次の焦点
2025年10月21日
-
欧州経済見通し 利下げ終了後の注目点
関税リスクは後退、財政悪化・金利上昇が新たなリスクに
2025年09月24日
-
欧州経済見通し 関税議論が一段落
米国による対EUの追加関税率は15%で決着
2025年08月22日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
第226回日本経済予測(改訂版)
低成長・物価高の日本が取るべき政策とは?①格差問題、②財政リスク、を検証
2025年09月08日
-
聖域なきスタンダード市場改革議論
上場維持基準などの見直しにも言及
2025年09月22日
-
今後の証券業界において求められる不正アクセス等防止策とは
金融庁と日本証券業協会がインターネット取引の新指針案を公表
2025年09月01日
-
日本経済見通し:2025年9月
トランプ関税で対米輸出が大幅減、製造業や賃上げ等への影響は?
2025年09月25日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
第226回日本経済予測(改訂版)
低成長・物価高の日本が取るべき政策とは?①格差問題、②財政リスク、を検証
2025年09月08日
聖域なきスタンダード市場改革議論
上場維持基準などの見直しにも言及
2025年09月22日
今後の証券業界において求められる不正アクセス等防止策とは
金融庁と日本証券業協会がインターネット取引の新指針案を公表
2025年09月01日
日本経済見通し:2025年9月
トランプ関税で対米輸出が大幅減、製造業や賃上げ等への影響は?
2025年09月25日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日