サマリー
◆2月14日、英国議会は、政府の離脱協議方針に関する動議の審議・採決を行った。離脱協定を再交渉するメイ首相のアプローチに対し支持を求める政府動議は賛成258対反対303で否決された。離脱交渉における修正代案(プランB)に対し、議会が相応の拒否を示したことになる。
◆メイ首相は議会で声明を発表し、2月26日までに修正された離脱合意を議会に提示することができなければ、再び離脱協議方針に関する声明を出し、翌2月27日に議会がこの声明について審議・採決を行うことを約束している。交渉期限の延長を求める親欧州派議員にとっては、EUへの延長要請を政府に求めるための法案作成の日数を考えると、この日の採決が正念場となろう。
◆今回の政府動議は法的拘束力がないため、今後メイ首相は2月末までにEU側との協議に再度臨む予定である。ただメイ首相は先週までにEU側と一連の協議を行ったが、首相が求めるバックストップへの修正については、ほぼ進展が見られていない。あくまで想定上の事態であった合意なき離脱の可能性が現実味を帯びてきたことに恐れをなしたのか、強硬離脱派の筆頭であるジョンソン元外相は、バックストップに法的な終了期限が付与されれば、離脱合意を支持すると発言し、合意なき離脱をも辞さないとした持論からのトーンダウンを見せている。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
欧州経済見通し 関税議論が一段落
米国による対EUの追加関税率は15%で決着
2025年08月22日
-
4-6月期ユーロ圏GDP かろうじてプラス成長
ドイツ、イタリアがマイナス成長転換も、好調スペインが下支え
2025年07月31日
-
ドイツ経済低迷の背景と、低迷脱却に向けた政策転換
『大和総研調査季報』2025年夏季号(Vol.59)掲載
2025年07月24日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
2025年度の最低賃金は1,100円超へ
6%程度の引き上げが目安か/欧州型目標の扱いや地方での議論も注目
2025年07月16日
-
2025年ジャクソンホール会議の注目点は?
①利下げ再開の可能性示唆、②金融政策枠組みの見直し
2025年08月20日
-
既に始まった生成AIによる仕事の地殻変動
静かに進む、ホワイトカラー雇用の構造変化
2025年08月04日
-
米雇用者数の下方修正をいかに解釈するか
2025年7月米雇用統計:素直に雇用環境の悪化を警戒すべき
2025年08月04日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
2025年度の最低賃金は1,100円超へ
6%程度の引き上げが目安か/欧州型目標の扱いや地方での議論も注目
2025年07月16日
2025年ジャクソンホール会議の注目点は?
①利下げ再開の可能性示唆、②金融政策枠組みの見直し
2025年08月20日
既に始まった生成AIによる仕事の地殻変動
静かに進む、ホワイトカラー雇用の構造変化
2025年08月04日
米雇用者数の下方修正をいかに解釈するか
2025年7月米雇用統計:素直に雇用環境の悪化を警戒すべき
2025年08月04日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日