サマリー
◆2019年1月21日、英国のメイ政権は、1月15日にEUからの離脱協定合意の受け入れ是非が歴史的な大差で否決されたことを受け、今後の行動計画(代案、プランB)に関する声明を議会で行った。ようやく政府の方針が明らかになったものの、前週に否決された離脱合意の内容から大きな修正が図られるわけでもないため、再採決されても議会の過半数の賛成を獲得するような案ではないとみられている。
◆1月29日の採決は、メイ首相の代案に関する動議とそれに対する修正案についてのものであり、微修正された離脱合意についてはあらためて意味ある投票(Meaningful vote)が行われる予定となっている。労働党幹部のクーパー議員が主導するグループでは、離脱合意について議会の総意を得る期限を2月26日とし、それまでに議会の意見がまとまらなかった場合には、交渉期限の延長を巡る議会採決を行うという修正案を提出している。
◆1月15日に離脱合意が議会で否決された後、英金融街シティでは離脱協議が延長されることを確実視しているため、金融市場の警戒感は一旦弱まっている。現状では、延長要請は、ただ決定時期を遅らせるだけであり、「合意なき離脱の可能性を排除」することにはならない。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
欧州経済見通し 成長再加速の兆し
景気の下振れリスク緩和でECBの追加利下げ観測は後退
2025年11月25日
-
7-9月期ユーロ圏GDP 緩やかな成長が継続
フランスの成長ペースが加速し、市場予想からはわずかに上振れ
2025年10月31日
-
欧州経済見通し フランスの政治不安は一服
ただし予断は許されず、予算協議が次の焦点
2025年10月21日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
日本経済見通し:2025年10月
高市・自維連立政権の下で経済成長は加速するか
2025年10月22日
-
非財務情報と企業価値の連関をいかに示すか
定量分析の事例調査で明らかになった課題と今後の期待
2025年11月20日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
-
第227回日本経済予測
高市新政権が掲げる「強い経済」、実現の鍵は?①実質賃金引き上げ、②給付付き税額控除の在り方、を検証
2025年11月21日
-
グラス・ルイスの議決権行使助言が大変化
標準的な助言基準を廃し、顧客ごとのカスタマイズを徹底
2025年10月31日
日本経済見通し:2025年10月
高市・自維連立政権の下で経済成長は加速するか
2025年10月22日
非財務情報と企業価値の連関をいかに示すか
定量分析の事例調査で明らかになった課題と今後の期待
2025年11月20日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
第227回日本経済予測
高市新政権が掲げる「強い経済」、実現の鍵は?①実質賃金引き上げ、②給付付き税額控除の在り方、を検証
2025年11月21日
グラス・ルイスの議決権行使助言が大変化
標準的な助言基準を廃し、顧客ごとのカスタマイズを徹底
2025年10月31日

