サマリー
◆2018年11月14日、英国のメイ首相は、5時間におよぶ臨時閣僚会議の結果、英国のEUからの離脱に関する離脱協定草案と政治宣言の実務レベルでの合意内容が閣議了承されたことを発表した。同草案は585ページにおよび、離脱に伴うプロセスや英国とEUとの取り決めを詳細に記述している。
◆離脱協定の中で最も注目されたのが、アイルランドと英領北アイルランドの間におけるハードボーダーを回避するためのバックストップの詳細であろう。2020年12月末までに貿易協定が締結されず、移行期間も延長されなかった場合や、(延長された)移行期間が終了しても解決策が見つからない場合に、バックストップが行使される。またバックストップは期限を設けていないために、半ば永続的な措置になる含みを残している。
◆今後は11月25日と目されている臨時EUサミットで、EU・英国で共同声明の発表が予定されている。その後、英国では12月までに、議会採決において離脱協定について最終的な審判が下される予定である。ただ、すでに少数与党政権の保守党と閣外協力の関係にある民主統一党(DUP)が離脱協定草案に反対声明を出しているため、議会が承認する可能性は低いとされる。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
7-9月期ユーロ圏GDP 緩やかな成長が継続
フランスの成長ペースが加速し、市場予想からはわずかに上振れ
2025年10月31日
-
欧州経済見通し フランスの政治不安は一服
ただし予断は許されず、予算協議が次の焦点
2025年10月21日
-
欧州経済見通し 利下げ終了後の注目点
関税リスクは後退、財政悪化・金利上昇が新たなリスクに
2025年09月24日

