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イタリア財政危機のリスクシナリオ

2019年度予算案は新たな金融危機の火種となるか?

2018年09月20日

ロンドンリサーチセンター シニアエコノミスト(LDN駐在) 菅野 泰夫

サマリー

◆6月に誕生したイタリアのポピュリズム連立政権が初めて取り組む来年度(2019年度)予算案の枠組みが明らかになるにつれ、金融市場は警戒を強めている。予算編成プロセスは、閣議決定された経済財政計画を9月27日までにイタリア議会に提出することで開始される。

◆異なる選挙公約を掲げた政党同士が連立を組むことになったことが、予算案編成が難航している理由のひとつである。政権公約を全て実現した場合の歳出拡大は1,000億ユーロを超え、財政赤字は対GDP比で3%を大きく上回る。連立政権は、公約実現のため、医療、教育および研究開発分野を除き歳出をカットし、政府支出の見直しを検討しているとの報道もあるが、改革をせずマーストリヒト基準を超えた予算案がそもそもEUに承認されることは困難である。

◆連立政権は、最近になってようやく金融市場の動揺を抑えるメディア対策が少しでき始めたようだが、両党とも地方政党の感覚が抜けず、一挙一動が金融市場に影響を与える自覚が乏しいともいえる。予算案が、国民の支持を求める政権与党にとって重要問題となっている今、他のEU加盟国との衝突は不可避ともいえ、今後の連立政権の動向次第ではユーロ危機の再燃も警戒される。

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