サマリー
◆英国政府は8月23日に、離脱協定合意の可能性が高いとしながらも、合意なき離脱の場合に向けた25の政府指針を含む公式文書を発表した。ただあくまで英国が一方的に発表した方針であるため、EU側が同様の措置を取らなければ意味がないと、産業界からの反応はいま一つである。
◆合意なき離脱は日本企業にも大きな影響が予想されている。既にいくつかの在英日本企業が、本社を英国から大陸欧州へ移転を発表するなど、離脱の前に英国を後にする動きが出始めている。ただ工場などを有する製造業は金融業などとは異なり、すぐに移転することは難しい。特に欧州に広域なサプライチェーンを構築し、英国に組立工場を有する日本の自動車メーカーなどは、その影響が甚大といわれている。
◆合意なき離脱の可能性が高まるにつれ、金融機関の英国経済の見通しは、総じてネガティブなものに変更されつつある。これまで、ブレグジット交渉の結果として、秩序立った離脱の可能性が最も高いとみていた主要格付け機関等は、英国内の政治的分断の激化、交渉の時間切れの懸念から、この見通しを撤回しつつある。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
欧州経済見通し 関税議論が一段落
米国による対EUの追加関税率は15%で決着
2025年08月22日
-
4-6月期ユーロ圏GDP かろうじてプラス成長
ドイツ、イタリアがマイナス成長転換も、好調スペインが下支え
2025年07月31日
-
ドイツ経済低迷の背景と、低迷脱却に向けた政策転換
『大和総研調査季報』2025年夏季号(Vol.59)掲載
2025年07月24日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
2025年度の最低賃金は1,100円超へ
6%程度の引き上げが目安か/欧州型目標の扱いや地方での議論も注目
2025年07月16日
-
2025年ジャクソンホール会議の注目点は?
①利下げ再開の可能性示唆、②金融政策枠組みの見直し
2025年08月20日
-
既に始まった生成AIによる仕事の地殻変動
静かに進む、ホワイトカラー雇用の構造変化
2025年08月04日
-
米雇用者数の下方修正をいかに解釈するか
2025年7月米雇用統計:素直に雇用環境の悪化を警戒すべき
2025年08月04日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
2025年度の最低賃金は1,100円超へ
6%程度の引き上げが目安か/欧州型目標の扱いや地方での議論も注目
2025年07月16日
2025年ジャクソンホール会議の注目点は?
①利下げ再開の可能性示唆、②金融政策枠組みの見直し
2025年08月20日
既に始まった生成AIによる仕事の地殻変動
静かに進む、ホワイトカラー雇用の構造変化
2025年08月04日
米雇用者数の下方修正をいかに解釈するか
2025年7月米雇用統計:素直に雇用環境の悪化を警戒すべき
2025年08月04日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日