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トランプ大統領の最悪シナリオに備えるEU

次の標的である自動車輸入関税への影響

2018年07月11日

ロンドンリサーチセンター シニアエコノミスト(LDN駐在) 菅野 泰夫

サマリー

◆7月6日に米国のトランプ政権は、知的財産権侵害などを理由に、中国からの818品目、340億ドル相当の輸入品に対して25%の関税を上乗せする制裁措置を発動した。欧州においてもトランプ政権の行動は、対岸の火事ではない。6月22日にトランプ大統領がツイッター上で、EUから輸入される自動車および自動車部品に対して20%の関税賦課を示唆したことから状況は一変している。

◆欧州委員会は、米国商務省に対し、EUから輸出される自動車に米国が関税をかけるならば、報復措置として最大300億ドルの米国商品を関税対象にすると警告している。ただ対トランプ大統領に対する戦略としては、さらに貿易戦争を煽ることを避けるために、封じ込める戦略をとることでEU加盟国間は合意しているという。ユンケル欧州委員会委員長が7月下旬に予定されているトランプ大統領との直接会談で、どこまで双方が譲歩できるかを模索しているのが実情である。

◆EU高官は、自動車と自動車部品で世界中が貿易戦争に陥った場合、米国自動車産業に従事する400万人以上の雇用が脅かされるリスクがあるという調査結果に言及している。また自動車輸入関税は、米国の自動車製造のサプライチェーンに甚大な影響を及ぼし、経済成長率を押し下げることは確実である。ただ、EUや中国は輸出に依存しているため、米国よりもさらに苦しむ可能性がある。

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