サマリー
◆英国上院では、今でもEU残留支持公言を憚らない議員が多く、ソフトブレグジットを目指し、EU離脱法案(Withdrawal Bill)の修正案が多く提出されている。その中でも注目されているのは、保守党造反議員が主導する、"EU離脱協定の最終合意内容について議会投票を行う(Meaningful Vote)"修正案であろう。同案が可決されれば、合意に至らず離脱期限を迎えるクリフ・エッジのリスクは大きく後退する。ただ同案の可決は、事実上の保守党分裂を意味し、メイ首相の辞任や再選挙といった政治混乱に直面する可能性がある。
◆6月20日に下院でEU離脱法案の(Meaningful Voteの)再修正案が否決され、上院が政府の再改正案を容認したことから同法案は成立する見通しとなった。ただ、英国議会では、7月24日の夏季休会前にもEU離脱後の貿易関係や関税に関する法案(Trade Bill)が審議される予定であり、今後も残留支持派と強硬離脱派の衝突が予想されている 。
◆当初、EU離脱交渉は、EU側が実質的な期限としていた10月18-19日のEUサミットで最終合意に辿りつき、10月31日までに英国議会で承認されることを想定していた。しかし、北アイルランド国境問題が解決に程遠く、12月13-14日に予定されているEUサミットになっても、何も合意に至らない可能性があるとの見方も出始めている。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
関連のレポート・コラム
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
日本経済見通し:2024年2月
2025年度にかけて1%前後のプラス成長と2%インフレを見込む
2024年02月22日
-
ビットコイン現物ETF、日本で組成可能か?
米SEC承認を受けて、日本で導入することの法制度上の是非を考察
2024年02月13日
-
第220回日本経済予測(改訂版)
賃上げの持続力と金融政策正常化の行方①自然利子率の引き上げ、②投資と実質賃金の好循環、を検証
2024年03月11日
-
日本経済見通し:2024年3月
24年の春闘賃上げ率5%超えを受け、日銀はマイナス金利政策を解除
2024年03月22日
-
2024年の日本経済見通し
緩やかな景気回復と金融政策の転換を見込むも海外経済リスクに注意
2023年12月21日
日本経済見通し:2024年2月
2025年度にかけて1%前後のプラス成長と2%インフレを見込む
2024年02月22日
ビットコイン現物ETF、日本で組成可能か?
米SEC承認を受けて、日本で導入することの法制度上の是非を考察
2024年02月13日
第220回日本経済予測(改訂版)
賃上げの持続力と金融政策正常化の行方①自然利子率の引き上げ、②投資と実質賃金の好循環、を検証
2024年03月11日
日本経済見通し:2024年3月
24年の春闘賃上げ率5%超えを受け、日銀はマイナス金利政策を解除
2024年03月22日
2024年の日本経済見通し
緩やかな景気回復と金融政策の転換を見込むも海外経済リスクに注意
2023年12月21日