サマリー
◆5月23日、イタリアのマッタレッラ大統領は、首相にフィレンツェ大学法学部教授のジュセッペ・コンテ氏(53歳)を指名し、五つ星運動と同盟2党のポピュリズム政党が連立政権を樹立するための組閣を要請した。ただし連立政権協議が妥結しても、政策立案能力に疑問符がつく政治経験のない首相任命は、野党の抵抗から議会の信任を得られない可能性もある。
◆連立政権合意後に発表された、(両党で合意された)最終版の政策綱領を確認すると、防衛や教育改革への取り組みだけでなく、ばらまき型のなりふり構わない財政緩和策や、EUルールに反した外交政策などが目立つ。ただイタリアの多くの有権者は、ベルルスコーニ政権時代からバラマキ政権公約が実現してこなかったことは十分認識しており、今回の財政拡大案をうのみにしてはいないようだ。
◆2015年に起こったギリシャ危機の際、当初静観していた金融市場が、ギリシャによるIMFへの返済期限が近づくにつれ、ユーロ危機のシナリオを織り込んでいったことは記憶に新しい。9月以降の来年度予算協議で、具体的な財政拡大策案が明らかになるにつれ、イタリアの金融市場は警戒感を強めると見ている。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
欧州経済見通し フランスの政治不安は一服
ただし予断は許されず、予算協議が次の焦点
2025年10月21日
-
欧州経済見通し 利下げ終了後の注目点
関税リスクは後退、財政悪化・金利上昇が新たなリスクに
2025年09月24日
-
欧州経済見通し 関税議論が一段落
米国による対EUの追加関税率は15%で決着
2025年08月22日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
第226回日本経済予測(改訂版)
低成長・物価高の日本が取るべき政策とは?①格差問題、②財政リスク、を検証
2025年09月08日
-
聖域なきスタンダード市場改革議論
上場維持基準などの見直しにも言及
2025年09月22日
-
今後の証券業界において求められる不正アクセス等防止策とは
金融庁と日本証券業協会がインターネット取引の新指針案を公表
2025年09月01日
-
日本経済見通し:2025年9月
トランプ関税で対米輸出が大幅減、製造業や賃上げ等への影響は?
2025年09月25日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
第226回日本経済予測(改訂版)
低成長・物価高の日本が取るべき政策とは?①格差問題、②財政リスク、を検証
2025年09月08日
聖域なきスタンダード市場改革議論
上場維持基準などの見直しにも言及
2025年09月22日
今後の証券業界において求められる不正アクセス等防止策とは
金融庁と日本証券業協会がインターネット取引の新指針案を公表
2025年09月01日
日本経済見通し:2025年9月
トランプ関税で対米輸出が大幅減、製造業や賃上げ等への影響は?
2025年09月25日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日