サマリー
◆英国中央銀行(BOE)のカーニー総裁は、4月19日のBBCのインタビューにおいて、市場コンセンサスである2018年5月中の利上げに関し曖昧な発言に終始した。多くの金融市場関係者が、5月10日の次回金融政策委員会(MPC)での利上げを予想していた中での見送り示唆は、大きなサプライズとして受け止められた。
◆利上げを躊躇する理由のひとつとして、英国の家計債務の急激な増加も挙げられる。2017年11月に英国の独立財政機関である予算責任局(OBR)が発表した2017年英国秋季経済財政(見通し)報告書は、英国家計債務の急激な増加を指摘している。BOEはクレジットカードや自動車ローンなど住宅ローン以外の消費者信用の急激な拡大に警鐘を鳴らしている。
◆足元の貯蓄率の大幅な低下も利上げを躊躇する要因のひとつであろう。今年3月に英統計局(ONS)が発表したデータによると、2017年の英国の貯蓄率は1963年以降の最低水準となる4.9%を記録している。BOEは、貯蓄率の低下に伴う、家計債務のさらなる増大を警戒している。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
欧州経済見通し 成長再加速の兆し
景気の下振れリスク緩和でECBの追加利下げ観測は後退
2025年11月25日
-
7-9月期ユーロ圏GDP 緩やかな成長が継続
フランスの成長ペースが加速し、市場予想からはわずかに上振れ
2025年10月31日
-
欧州経済見通し フランスの政治不安は一服
ただし予断は許されず、予算協議が次の焦点
2025年10月21日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
日本経済見通し:2025年10月
高市・自維連立政権の下で経済成長は加速するか
2025年10月22日
-
非財務情報と企業価値の連関をいかに示すか
定量分析の事例調査で明らかになった課題と今後の期待
2025年11月20日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
-
第227回日本経済予測
高市新政権が掲げる「強い経済」、実現の鍵は?①実質賃金引き上げ、②給付付き税額控除の在り方、を検証
2025年11月21日
-
グラス・ルイスの議決権行使助言が大変化
標準的な助言基準を廃し、顧客ごとのカスタマイズを徹底
2025年10月31日
日本経済見通し:2025年10月
高市・自維連立政権の下で経済成長は加速するか
2025年10月22日
非財務情報と企業価値の連関をいかに示すか
定量分析の事例調査で明らかになった課題と今後の期待
2025年11月20日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
第227回日本経済予測
高市新政権が掲げる「強い経済」、実現の鍵は?①実質賃金引き上げ、②給付付き税額控除の在り方、を検証
2025年11月21日
グラス・ルイスの議決権行使助言が大変化
標準的な助言基準を廃し、顧客ごとのカスタマイズを徹底
2025年10月31日

