ブレグジット交渉第2ステップのリスクシナリオ

問われる2回目の国民投票とTPP加入の是非

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2018年01月16日

サマリー

◆2017年12月8日、英国政府は、2017年6月からスタートしていたブレグジット交渉の第1ステップ(離脱協定交渉)で、ようやくEUと大筋合意に至った。EU側は、交渉の第2ステップ(移行期間・通商協定交渉)で、まずは移行期間についての協議を2018年1月から約2ヶ月間行い、通商協定交渉は3月まで開始しないことを表明している。


◆今回の合意内容は、EU側の主張に英国が譲歩した格好となり、当初、EUとの交渉に強気の姿勢を見せていたメイ首相への批判も少なくない。ナイジェル・ファラージュ元英国独立党党首(UKIP)は、1月11日のテレビ番組で「2回目のEU離脱の国民投票を実施すべき」との持論を展開した。


◆英国は既に、EU離脱後の環太平洋パートナーシップ協定(TPP)への参加について非公式の会談を実施している。ただしTPPに参加しても英国へのインパクトは少ないことが予想される。日本への英国からの輸出は、2016年に全体のわずか1.6%にとどまっており、全てのTPPの加盟国を合わせても合計の輸出量は全体の8%程度を占めるにすぎない。そのためEUとの関係性を重視する閣僚の中には、TPPへの参加に否定的な見方が多いことも事実である。

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