英国保守党党首選の行方と解散総選挙の可能性

スコットランド議会がリスク要因

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2016年07月08日

サマリー

◆7月7日には、保守党党首選の第二回投票が実施され、テレサ・メイ内務相が199票と過半数の支持を集め、2位のアンドレア・レッドソム エネルギー相の84票を大きく引き離した。決選投票は9月9日を期限とする保守党一般党員による郵送投票で行われ、次期党首(すなわち次期英国首相)が決定することになる。結果的にメイ氏とレッドソム氏の女性候補2人の一騎打ちとなり、マーガレット・サッチャー首相以来となる女性首相の誕生が確定している。


◆当初、離脱が決定すれば速やかに手続き(EUへの通知)を開始するとしていた残留派にも動きが見られ、次期首相の本命候補とされるメイ内務相もリスボン条約50条の年内行使を否定、行使は2017年以降としている。ただしEU側は50条を行使するまでは、いかなる交渉にも応じないと明言しているため、次期首相は就任直後からEUの圧力にさらされることになる。


◆第2の住民投票を阻止する意味でも、下院議会がスコットランド議会の意見を尊重して、スコットランドにEU法が適用され続ける状態となるリスクも想定される。ただしそれは、国民投票で示された英国全体の離脱の民意とねじれが生じることを意味する。このタイミングで英国議会の解散総選挙によって、(議会と民意とのねじれを解消する目的で)国民投票の信を問い直すという展開も十分想定される。

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