サマリー
◆世界的な株価急落の一因となったドイツの8月の鉱工業生産の急失速の背景には、今年に限って自動車工場の夏休みが8月に集中し、生産が急減したという特殊事情があった。9月の自動車生産台数は7月の水準まで持ち直しており、ドイツ経済の急失速を懸念するのは行き過ぎであろう。もっとも、企業景況感の悪化は秋になっても継続しているため、ユーロ圏の経済成長見通しを2014年+0.7%、2015年+0.9%に下方修正する。
◆国際社会のみならずドイツ国内からも「景気に配慮した財政政策」を求める声が高まっているが、ドイツ政府は財政健全化が最優先との姿勢を崩していない。この背景には、10月15日がユーロ圏各国が欧州委員会に2015年予算を提出する期限だった影響もあると見受けられる。フランスとイタリアの2015年予算案は、どちらもこれまで約束していた財政健全化の達成時期を先延ばしする内容となった。欧州委員会は10月末までにこの予算案の修正を求めるか否かを判断することになっている。欧州にとって望ましい着地点は、フランス、イタリアには財政健全化・構造改革推進を約束させる一方、財政健全化を達成した国が景気回復・雇用創出への貢献を求めることであろう。さまざまなせめぎ合いが12月のEU首脳会議まで続くと予想されるが、ドイツというハードルはかなり高いと懸念される。
◆英国では利上げの可能性が一段と後退したと判断される。世界景気の不透明感が高まったこと、また英国の消費者物価上昇率が9月は前年比+1.2%に低下したことが理由である。内需が牽引する英国では、2014年+3.0%、2015年+2.4%の堅調な成長となると予想される。ただ、賃金上昇率の加速がみられず、またポンド高、エネルギー価格下落など物価抑制要因が増えている中で、BOEはしばらく政策金利を据え置くと予想する。最初の利上げのタイミングを2015年1-3月期から7-9月期に変更し、その後の利上げ予想も順次後ろにずらした。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
同じカテゴリの最新レポート
-
欧州経済見通し 利上げ後、状況が一変
原油価格下落で追加利上げは様子見/スターマー首相辞任後の注目点
2026年06月23日
-
欧州経済見通し 家計主導の景況感悪化
製造業では駆け込み需要が下支え/英国では政治不安がリスクに
2026年05月27日
-
1-3月期ユーロ圏GDP 市場予想に反して減速
かろうじてプラス成長も、原油高の悪影響本格化の前から成長停滞
2026年05月01日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
中国経済見通し:泥沼化する不動産不況
低迷する内需。財政出動・さらなる金融緩和への期待が高まる
2026年06月22日
-
ナフサ問題がもたらす日本経済の不安要素
物価上昇は避けられず、供給不足が生じればさらなる経済下押しも
2026年06月15日
-
第229回日本経済予測(改訂版)
混迷する中東情勢、その先で問われる日本経済の構造転換①「持続的成長」の条件、②資産形成と成長の好循環、を検証
2026年06月08日
-
「成長投資ガイダンス」の解釈とその活用法
資本コストを上回る資本収益性の確保は価値創造(EP)の前提条件
2026年06月17日
-
超富裕層の株式譲渡所得への税率はミニマムタックス込みで最高35.63%に
2026年度税制改正大綱解説(3)富裕層課税(ミニマムタックス)
2026年02月09日
中国経済見通し:泥沼化する不動産不況
低迷する内需。財政出動・さらなる金融緩和への期待が高まる
2026年06月22日
ナフサ問題がもたらす日本経済の不安要素
物価上昇は避けられず、供給不足が生じればさらなる経済下押しも
2026年06月15日
第229回日本経済予測(改訂版)
混迷する中東情勢、その先で問われる日本経済の構造転換①「持続的成長」の条件、②資産形成と成長の好循環、を検証
2026年06月08日
「成長投資ガイダンス」の解釈とその活用法
資本コストを上回る資本収益性の確保は価値創造(EP)の前提条件
2026年06月17日
超富裕層の株式譲渡所得への税率はミニマムタックス込みで最高35.63%に
2026年度税制改正大綱解説(3)富裕層課税(ミニマムタックス)
2026年02月09日

