EUの移民政策と英国への影響

欧州の移民政策は日本の成長戦略の参考になるのか

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2014年07月24日

サマリー

◆5月22日から25日に行われた欧州議会選挙では、反EUを公約に掲げる各国の極右勢力が躍進した。彼らは若年層失業率の上昇や、社会保障費の増大等を理由に移民排斥を主張し、現行のEUの移民政策の廃止を訴えている。


◆英国では労働党政権下(1997年~2010年)における明確な移民政策の欠如や、中東欧の新規EU加盟諸国への労働市場開放(2004年~)が重なり、予想を超える移民が流入した。その後の新規EU加盟国の移民に対しては移行措置を設けたものの、域内からの移民は増加し続けている。一方、保守党・自由民主党の連立政権発足以降、非EU圏からの移民政策が厳格化され、域外からの移民数は減少傾向にある。


◆移民の多くは若者であり(出稼ぎで資金を稼ぎたいため)就業率が高いことを考えると、移民の受け入れはむしろ財政赤字を緩和する効果も期待できるといえる。英国の移民政策の成否は英国経済の持続的成長に貢献する中間層の増加に資するような移民政策を打ち出せるかにかかっているといえよう。

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