サマリー
◆ユーロ圏、英国とも2011年10-12月期GDP成長率は前期比マイナスに転じたと推測される。世界的な需要減退に加え、10月以降はユーロ圏の財政懸念が加速し、イタリア、フランスなどユーロ圏内の大国が追加の財政健全化計画の発表を余儀なくされた。需要見通しの不透明感が高まり、消費や投資が手控えられた。
◆ただ、ドイツの景況感は2011年末以降持ち直す動きが出てきた。米経済が緩やかながら回復基調にあること、ブラジルに続いて中国やインドも金融政策が引き締めから緩和に転じつつあること、などが外需見通しの上方修正要因になっていると考えられる。また、ユーロ圏各国の国債発行の際の金利が1月に入って低下していることも、景況感改善に寄与している。
◆金利低下はECB(欧州中央銀行)による資金供給拡大に負うところが大きいとみられるが、これは財政問題の解決に対しては時間稼ぎの役割を果たしているにすぎない。時間稼ぎができている間に、まずはギリシャに対する第2弾支援を始動させる必要がある。また、ユーロ共同債導入を含む財政統合実現のための具体的な手段とスケジュールを公表するべきだろう。これらを早期に実現できなければ、景気下振れのリスクが高まると予想される。
◆ただ、ドイツの景況感は2011年末以降持ち直す動きが出てきた。米経済が緩やかながら回復基調にあること、ブラジルに続いて中国やインドも金融政策が引き締めから緩和に転じつつあること、などが外需見通しの上方修正要因になっていると考えられる。また、ユーロ圏各国の国債発行の際の金利が1月に入って低下していることも、景況感改善に寄与している。
◆金利低下はECB(欧州中央銀行)による資金供給拡大に負うところが大きいとみられるが、これは財政問題の解決に対しては時間稼ぎの役割を果たしているにすぎない。時間稼ぎができている間に、まずはギリシャに対する第2弾支援を始動させる必要がある。また、ユーロ共同債導入を含む財政統合実現のための具体的な手段とスケジュールを公表するべきだろう。これらを早期に実現できなければ、景気下振れのリスクが高まると予想される。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
欧州経済見通し 追加関税の影響が顕在化
米国向け輸出が急減、対米通商交渉の行方は依然不透明
2025年06月24日
-
欧州経済見通し 対米通商交渉に一喜一憂
米英合意、米中間の関税引き下げは朗報、EUの交渉は楽観視できず
2025年05月23日
-
1-3月期ユーロ圏GDP 成長ペースは再加速
市場予想を上回る良好な結果、ただし先行きは減速へ
2025年05月01日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
日本経済見通し:2025年4月
足元の「トランプ関税」の動きを踏まえ、実質GDP見通しなどを改訂
2025年04月23日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
-
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
-
「反DEI」にいかに立ち向かうか
米国における「DEIバックラッシュ」の展開と日本企業への示唆
2025年05月13日
-
中国:関税115%引き下げ、後は厳しい交渉へ
追加関税による実質GDP押し下げ幅は2.91%→1.10%に縮小
2025年05月13日
日本経済見通し:2025年4月
足元の「トランプ関税」の動きを踏まえ、実質GDP見通しなどを改訂
2025年04月23日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
「反DEI」にいかに立ち向かうか
米国における「DEIバックラッシュ」の展開と日本企業への示唆
2025年05月13日
中国:関税115%引き下げ、後は厳しい交渉へ
追加関税による実質GDP押し下げ幅は2.91%→1.10%に縮小
2025年05月13日