欧州経済見通し マイナス成長局面入り

ECBの奮闘でマイルド・リセッション&ドイツは景況感持ち直し

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2012年01月20日

サマリー

◆ユーロ圏、英国とも2011年10-12月期GDP成長率は前期比マイナスに転じたと推測される。世界的な需要減退に加え、10月以降はユーロ圏の財政懸念が加速し、イタリア、フランスなどユーロ圏内の大国が追加の財政健全化計画の発表を余儀なくされた。需要見通しの不透明感が高まり、消費や投資が手控えられた。

◆ただ、ドイツの景況感は2011年末以降持ち直す動きが出てきた。米経済が緩やかながら回復基調にあること、ブラジルに続いて中国やインドも金融政策が引き締めから緩和に転じつつあること、などが外需見通しの上方修正要因になっていると考えられる。また、ユーロ圏各国の国債発行の際の金利が1月に入って低下していることも、景況感改善に寄与している。

◆金利低下はECB(欧州中央銀行)による資金供給拡大に負うところが大きいとみられるが、これは財政問題の解決に対しては時間稼ぎの役割を果たしているにすぎない。時間稼ぎができている間に、まずはギリシャに対する第2弾支援を始動させる必要がある。また、ユーロ共同債導入を含む財政統合実現のための具体的な手段とスケジュールを公表するべきだろう。これらを早期に実現できなければ、景気下振れのリスクが高まると予想される。

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