サマリー
◆欧州の財政・金融危機が世界経済の悪化要因となることが懸念されている。欧州経済は7、8月は輸出と生産が持ち直したが、企業と消費者の景況感は9月にかけて悪化傾向が続いた。原因はギリシャ危機へのユーロ圏の対応がもたついたことである。これにより、10月には金融システム不安が高まった。ユーロ圏の銀行は資金調達が厳しくなったことを報告しており、この状況が長引けば、資金の流れが滞り、景気を冷やすことが懸念される。
◆財政問題が金融システム不安へと波及したことを受けて、独仏首脳は「包括的危機対策」を10月23日のEU首脳会議で打ち出すことを表明した。この対策には欧州銀行の資本増強計画と、欧州支援基金の規模拡大案が盛り込まれると予想される。これらの措置は、金融システム不安への対応策であると同時に、金融システム不安拡大回避に必要な「管理されたデフォルト」を実現するための前提条件と位置づけられる。
◆ユーロ圏の財政・金融問題解決への取り組みは、つなぎ融資の段階から一歩踏み込んだ対応に移ろうとしているが、これらの対策は少なくとも短期的には景気にマイナス材料となる可能性が高い。多くの国が財政赤字削減を優先させる必要があるなかで、ECBの金融緩和への期待がますます高まろう。9月の消費者物価の反発は一時的なものと考えられ、早ければ年内にECBが利下げに動くと予想する。
◆財政問題が金融システム不安へと波及したことを受けて、独仏首脳は「包括的危機対策」を10月23日のEU首脳会議で打ち出すことを表明した。この対策には欧州銀行の資本増強計画と、欧州支援基金の規模拡大案が盛り込まれると予想される。これらの措置は、金融システム不安への対応策であると同時に、金融システム不安拡大回避に必要な「管理されたデフォルト」を実現するための前提条件と位置づけられる。
◆ユーロ圏の財政・金融問題解決への取り組みは、つなぎ融資の段階から一歩踏み込んだ対応に移ろうとしているが、これらの対策は少なくとも短期的には景気にマイナス材料となる可能性が高い。多くの国が財政赤字削減を優先させる必要があるなかで、ECBの金融緩和への期待がますます高まろう。9月の消費者物価の反発は一時的なものと考えられ、早ければ年内にECBが利下げに動くと予想する。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
欧州経済見通し 対米通商交渉に一喜一憂
米英合意、米中間の関税引き下げは朗報、EUの交渉は楽観視できず
2025年05月23日
-
1-3月期ユーロ圏GDP 成長ペースは再加速
市場予想を上回る良好な結果、ただし先行きは減速へ
2025年05月01日
-
欧州経済見通し 相互関税で悲観が広がる
対米輸出の低迷に加え、対中輸出減・輸入増も懸念材料
2025年04月23日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
「相互関税」による日本の実質GDPへの影響は最大で▲1.8%
日本に対する相互関税率は24%と想定外に高い水準
2025年04月03日
-
「相互関税」を受け、日米欧中の経済見通しを下方修正
2025年の実質GDP成長率見通しを0.4~0.6%pt引き下げ
2025年04月04日
-
米国による25%の自動車関税引き上げが日本経済に与える影響
日本の実質GDPを0.36%押し下げる可能性
2025年03月27日
-
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
-
日本経済見通し:2025年3月
トランプ関税で不確実性高まる中、25年の春闘賃上げ率は前年超えへ
2025年03月24日
「相互関税」による日本の実質GDPへの影響は最大で▲1.8%
日本に対する相互関税率は24%と想定外に高い水準
2025年04月03日
「相互関税」を受け、日米欧中の経済見通しを下方修正
2025年の実質GDP成長率見通しを0.4~0.6%pt引き下げ
2025年04月04日
米国による25%の自動車関税引き上げが日本経済に与える影響
日本の実質GDPを0.36%押し下げる可能性
2025年03月27日
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
日本経済見通し:2025年3月
トランプ関税で不確実性高まる中、25年の春闘賃上げ率は前年超えへ
2025年03月24日