欧州:財政再建による景気減速への影響

短期的な痛みは想定内だったが過小評価、財政再建の方向性見直しが必要

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2011年09月22日

サマリー

◆欧州では、景気減速が鮮明となっている。原因の一つとして考えられるのは、各国で採用されている緊縮財政である。そしてこの景気減速が、欧州の財政再建の実現性に対する不安を増幅させるという悪循環が生じている。

◆「緊縮財政ブーム」が景気回復の足かせとなる状況は、当初から欧州当局および国際金融機関で想定されていた。しかし、政治の意思決定の遅延によって、これほどまでに短期的な痛みを重いものにするとは想定されていなかった。

◆景気減速への懸念が深刻化する中、この痛みを伴う財政再建を欧州で一様に進めるべきか?ECBの主張は、景気に配慮して緊縮財政を緩めるといった決断はありえないというものだ。そうであればイタリアのように、市場の圧力を受けて、国内外の信認を得がたい追加の緊縮財政策を提示するのは逆効果である。

◆しかし他方で、ユーロ中核国の一部では、財政再建を一時緩めるという選択肢もあるだろう。内需の底上げ、ひいてはユーロ圏としての統合体の景気の底堅さが、対域内周縁国の救済能力に対する市場の懸念を和らげるからだ。現在の欧州は、景気の悪化とソブリン危機の深刻化というダブルパンチに見舞われた状況にある。この窮状から抜け出すきっかけを政策的な景気下支えに求めることの是非は真剣な議論に値しよう。

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