欧州経済見通し 踊場に入った4-6月期

ECBの利上げスタンス、BOEの様子見スタンスは共に継続

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2011年07月20日

サマリー

◆ユーロ圏の4-6月期成長率は1-3月期の前期比+0.8%から減速したと推測される。政府消費の減退と輸出の伸び鈍化が予想されるためで、企業景況感も軟化傾向にある。ただし、これは景気の腰折れではなく、V字回復局面から巡航速度の局面に切り替わる際の一時的な減速と見込まれる。リスクシナリオは、ギリシャ支援策第2弾の協議が早期にまとまらないケースだが、これを回避できれば、2011年は1.9%成長が可能と考える。ECB(欧州中央銀行)は7月に0.25%の利上げを決定し、政策金利は1.50%となったが、インフレ警戒を緩めてはおらず、年内もう1回の追加利上げの可能性があろう。

◆英国の個人消費を取り巻く環境は引き続き厳しい。賃金上昇率の伸び悩み、住宅市場の回復の遅れ、高インフレに加えて、公共部門のリストラを反映した失業者の増加が顕在化した。英国経済の本格的な回復は、個人消費及びサービス業が牽引する必要があるが、その時期は2012年に持ち越される可能性が高まってきている。物価上昇はVAT(付加価値税)引き上げが一因であるため、来年初めに低下が見込まれる一方、現時点で利上げしても問題解決にはつながらない。英中銀(BOE)の低金利政策は長期化し、利上げは2012年後半に持ち越されると予想する。

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