ギリシャ支援は今回も時間稼ぎを選択

第2弾支援策決定の次の一手に注目

RSS

2011年06月28日

サマリー

◆ギリシャ危機への対応は、ギリシャに対する第2弾の支援策を策定する方向でまとまりつつある。ギリシャ議会が追加の財政赤字削減策を承認すれば、7月3日のユーロ圏財務相会合で120億ユーロの融資にゴーサインが出され、さらに1100億ユーロ規模と目される第2弾支援策の概要が公表される見込みである。ギリシャ議会が国民の反対を押し切って財政赤字削減策を可決できるか、デフォルトに判定されない形で民間債権者に負担を求めることができるのかなど、まだ不透明な点は残るが、ギリシャの無秩序なデフォルトは回避するとの欧州の基本スタンスは確認されたと判断される。

◆ただし、以上の追加支援は短期的にギリシャのデフォルト懸念を後退させるものの、それ以上の効果は持たず、時間稼ぎにすぎない。時間を稼いでいる間にギリシャの財政赤字削減と経済建て直しが軌道に乗る可能性は低く、最終的に「ハードな」債務再編となる可能性はかなり高いだろう。それでも時間稼ぎをするのは、金融システム不安を通じた危機伝播への懸念が消えないためである。ギリシャのデフォルトが不可避となった場合でも、無用の混乱が生じないようにセーフティーネットを強化することが緊急の課題と考えられる。

このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。