サマリー
◆2026年2月28日の米国によるイラン攻撃以降、原油やその代替エネルギーとなる天然ガスや石炭価格の上昇が顕著である。先行き不透明感から市場ではリスクオフの動きが強まり、2026年3月27日時点で新興国通貨は対ドルで全面安となっている。本稿では、エネルギー輸入依存度、原油備蓄量、インフレリスク、エネルギー補助のための財政余地、対外的なバッファーという点で主要新興国を比較した。
◆今般の中東情勢悪化による打撃が最も大きいのは南アフリカ(南ア)だ。外貨準備高が比較的厚い点や自国通貨建て資金の調達が可能な点はプラスだが、政府部門の貯蓄不足を海外からの資本フローでファイナンスする構造は、通貨安につながりやすい。発電設備の老朽化やガバナンス問題で電力価格の高騰が常態化している点にも注意が必要だ。
◆原油備蓄量の規模が小さいのはインドネシアとベトナムである。インドネシアは、経常赤字を比較的足の速い証券投資でファイナンスしているため、資本流出リスクに注意を要する。ベトナムは、経常黒字幅が大きい点で評価できるが、硬直的な為替制度を支えるために外貨準備高を消耗している点がデメリットだ。
◆タイやインドに関しては、原油輸入依存度の高さがボトルネックではあるが、比較的豊富な石油備蓄量がバッファーとして機能しそうだ。また、両国は対外債務残高の規模が小さい点や、外貨準備高に厚みがある点でも対外的な耐性が高い。
◆今回取り上げた主要新興国の中で、最も打撃が小さいのはブラジルだ。原油の純輸出国である点や、対外的なリスクに対するバッファーが厚い点、米国との金利差が大きい点がその理由だ。中東情勢の悪化が市場でのリスクオフを過度に強めない限り、米国との金利差や資源国としての強みがバッファーとなり得る。
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