中国:四中全会、関税、そして日中関係悪化

米関税下げで2026年の経済見通しを上方修正、ただし内需は厳しい

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2025年11月25日

サマリー

◆2025年10月下旬に中国共産党の重要会議が開催され、第15次5カ年計画(2026年~2030年)の基本方針を決定した。内容は第14次5カ年計画(2021年~2025年)の焼き直しが多く、新味には乏しい。筆者が喫緊の課題と考える不動産不況からの脱却や「内巻」の是正への踏み込み不足は、構造問題を抜本的に「改革」する意欲の低下を示唆しているようにみえる。

◆2025年11月10日、米国は中国からの輸入品にかける追加関税を従来の30%から20%に引き下げた。大和総研の試算によれば、30%の追加関税では、中国の実質GDPは1.10%下押しされる。20%の追加関税では、0.73%の下押しになる計算である。30%追加関税との比較では0.37%ptの改善だ。大和総研は米中貿易戦争の一時停戦が2026年11月10日まで続くことを前提に、2026年の成長率見通しを従来の4.2%から4.4%に引き上げた。ただし、不動産不況の継続、自動車・家電の補助金政策の効果一巡(反動)などにより、内需は厳しい状況が続こう。

◆日中関係が急速に悪化している。事態の早期収束を願うが、台湾問題は習近平政権にとって「核心的利益の中の核心」とされる重要問題であり、影響の長期化・深刻化のリスクに十分留意したい。

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