サマリー
◆2025年11月1日に米ホワイトハウスが経済・貿易に関する米中の合意内容(ファクトシート)を発表した。本レポートは、主にメディア情報に依拠した、2025年10月31日付大和総研レポート「中国:100%関税回避も正念場はこれから」の更新版である。
◆ファクトシートによると、中国はレアアースの輸出管理を一時的に停止し、米国は「フェンタニル関税」を10%引き下げることなどで合意した。米中の貿易摩擦問題が大きく改善したようにみえるが、多くは問題を1年間先送りにしたにすぎない。
◆それでも中国経済にとって朗報であることに間違いはない。「フェンタニル関税」の10%引き下げ後の米国の中国からの輸入品に対する追加関税は20%となり、中国の実質GDPの下押しは0.73%に圧縮される計算だ。30%追加関税(1.10%下押し)との比較では0.37%ptの改善である。
◆米中間の関税交渉はむしろこれからが正念場である。相互関税の上乗せ分の24%、そして中国がロシア産原油を大量に輸入していることに対する二次関税(インドは25%)の行方はどうなるのか?交渉期間は1年間延長されたとはいえ、着地点は不透明なままであり、厳しい局面の出現も想定されよう。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
中国:100%関税回避も正念場はこれから
具体的進展は「フェンタニル関税」の10%引き下げにとどまる
2025年10月31日
-
中国:新5カ年計画の鍵は強国と自立自強
基本方針は現5カ年計画を踏襲、構造問題の改革意欲は低下?
2025年10月24日
-
中国経済見通し:米中摩擦と厳しさ増す内需
固定資産投資は前年割れ。米中貿易戦争は再び激化?
2025年10月21日

