中国経済見通し:2024年の注目点と中長期展望

「民営企業」「台湾有事」「成長力低下」「経済規模の米中逆転はなし」

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2024年01月23日

サマリー

◆不動産市場が安定化し、民営企業の活力が高まることで、2024年は5%程度の安定成長が可能となろう。一方のリスクシナリオでは、「国進民退」がなかなか解消せず、住宅市場の停滞が続くことを想定している。この場合は、拡張的な財政政策と金融緩和が経済を支えても、2024年の実質GDP成長率は4.3%程度にとどまろう。

◆2020年10月に習近平総書記は「2035年にGDPを2020年の2倍にすることは完全に可能である」としたが、これは達成不可能であろう。実質で2倍にするには、年平均4.7%強の成長率が必要である。しかし、中国経済は、(1)人口減少と少子高齢化の急速な進展、(2)住宅需要の減退など総需要の減少、(3)過剰投資と投資効率の低下、(4)過剰債務問題、(5)「国進民退」とイノベーションの停滞、などの構造的問題を抱え、成長力は大きく低下していく見通しだ。

◆コロナショック前の2019年頃は、2020年代後半にも中国の経済規模が米国を上回るとみられていたが、筆者の試算では2035年時点でも米国の経済規模が中国を15%程度上回る。米中の経済規模は逆転しない可能性が極めて高い。

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