サマリー
◆中国国家統計局によると、2022年4月~6月の実質GDP成長率は前年同期比0.4%(以下、断りのない限り、変化率は前年比、前年同期比)となり、1月~3月の4.8%から失速した。前期比は▲2.6%、前期比年率は▲10.0%に落ち込んだが、これは2020年1月~3月のそれぞれ▲10.3%、▲35.3%以来のマイナス成長であり、まさに第二次コロナ・ショックというべき状況となった。
◆2022年4月~6月の実質GDP成長率が想定以上に落ち込んだことを受けて、大和総研は2022年の中国経済見通しを従来の4.5%程度から4.0%程度に引き下げる。感染拡大抑制と景気浮揚策の実施を受けて、下半期は5%以上の成長率に回帰するとの見方に変更はない。財政・金融によるサポートに加え、乗用車購入に対する補助金政策などが景気回復を牽引しよう。5年に一度の共産党大会を控えて、さらなる景気刺激策が発表される可能性もある。
◆ゼロコロナ政策への固執が、引き続き最大の景気下振れ要因である。上海市の感染爆発の反省から、新型コロナウイルス感染症の感染者が少し増えただけで、厳しい防疫体制が全国的に敷かれるようになった。傷が浅いうちに防疫体制が強化されることで、ロックダウンや移動・行動制限が長期化するリスクは大きく減退しよう。ただし、今後も小規模な流行に伴う短期的なロックダウンや移動・行動制限が繰り返し実施される可能性は高い。これが、同時多発的なものになる可能性も否定できない。結局のところ、今後の景気の本格回復の強度は、感染拡大抑制次第ということになろう。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
中国経済見通し:2022年下半期に本格回復へ
景気浮揚のための政策パッケージを発表
2022年06月22日
-
中国:ゼロコロナ政策下の中国経済の行方
年後半は明確に回復も22年は4.5%程度の実質成長にとどまると予想
2022年05月24日
-
中国:内憂外患、リスクシナリオでは3%台も
メインシナリオは6月以降の景気回復で5.1%成長
2022年04月21日
-
中国:ゼロコロナと経済、両立挫折の深淵
5年に一度の党大会を前に、高まる景気下振れ圧力
2022年04月13日
-
中国経済、相次ぐロックダウンに広がる暗雲
ウクライナ問題の影響は相対的に小さいが免れ得ない
2022年03月22日
関連のレポート・コラム
最新のレポート・コラム
-
米GDP 前期比年率+2.8%と加速
2024年4-6月期米GDP:内需主導での堅調さを維持
2024年07月26日
-
監査・ガバナンス強化へ回帰する英国
昨年撤回した監査強化方針を復活し、ガバナンス・コードも厳格化へ
2024年07月25日
-
女性がキャリアを築ける職場ほど、子どもを持ちやすい
健保組合ごとの被保険者・被扶養者の出生率と、その要因の多変量解析
2024年07月24日
-
GX経済移行債に期待されるインパクトレポーティング
~GXの理解醸成促進に向けて~『大和総研調査季報』2024年夏季号(Vol.55)掲載
2024年07月24日
-
盛り上がりに欠ける英国の政権交代
2024年07月26日
よく読まれているリサーチレポート
-
「国債買入減額+利上げ」だけで長期金利は2%超えか
シナリオ別に見た日銀の国債買入減額による長期金利への影響試算
2024年06月12日
-
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
-
第221回日本経済予測(改訂版)
賃上げ・物価高の先にある経済の姿と課題は?①賃上げ効果、②貿易デジタル赤字、③トランプリスク、を検証
2024年06月10日
-
「事業性融資の推進等に関する法律案」概要
事業性に着目した企業価値担保権の創設
2024年05月30日
-
バーゼルⅢ最終化による自己資本比率への影響の試算
標準的手法採用行では、自己資本比率が1%pt程度低下する可能性
2024年02月02日
「国債買入減額+利上げ」だけで長期金利は2%超えか
シナリオ別に見た日銀の国債買入減額による長期金利への影響試算
2024年06月12日
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
第221回日本経済予測(改訂版)
賃上げ・物価高の先にある経済の姿と課題は?①賃上げ効果、②貿易デジタル赤字、③トランプリスク、を検証
2024年06月10日
「事業性融資の推進等に関する法律案」概要
事業性に着目した企業価値担保権の創設
2024年05月30日
バーゼルⅢ最終化による自己資本比率への影響の試算
標準的手法採用行では、自己資本比率が1%pt程度低下する可能性
2024年02月02日