サマリー
◆大和総研は、中国経済は2022年下半期に本格的に回復すると予想している。その理由は、①上海市の感染爆発の反省から、各都市では新型コロナウイルス感染症の感染者が少し増えただけで、厳しい防疫体制が敷かれるようになり、今後は散発的な流行に伴う短期的なロックダウン(都市封鎖)や移動制限が実施されても、それが広範囲化・長期化する可能性は極めて低くなった、②10月か11月と目される共産党大会を控え、政策総動員による景気浮揚が目指される、ためである。
◆景気浮揚について、中国国務院(内閣)は2022年5月末に「経済安定のための包括的政策措置」を発表した。これは6分野33項目にわたる政策パッケージであり、「第二次コロナ・ショック」といえる状況下で、苦境に陥った中小・零細企業と個人の救済という「守り」と、今後の経済の本格的回復に向けた「攻め」が混在しているのが特徴となっている。「攻め」の政策で特筆に値するのは、インフラ投資増強のための資金調達の増加と自動車購入税率の半減措置である。後者の実施期間は2022年6月から12月までで、対象は価格30万元(約600万円)以下、排気量2L以下の乗用車である。かつて、同様の政策は、リーマン・ショック、チャイナ・ショックの際にも導入され、裾野が広い自動車産業を刺激し、経済の立ち直りに大きな貢献をした経緯がある。今回もその効果に期待が高まろう。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
中国:ゼロコロナ政策下の中国経済の行方
年後半は明確に回復も22年は4.5%程度の実質成長にとどまると予想
2022年05月24日
-
中国:内憂外患、リスクシナリオでは3%台も
メインシナリオは6月以降の景気回復で5.1%成長
2022年04月21日
-
中国:ゼロコロナと経済、両立挫折の深淵
5年に一度の党大会を前に、高まる景気下振れ圧力
2022年04月13日
-
中国経済、相次ぐロックダウンに広がる暗雲
ウクライナ問題の影響は相対的に小さいが免れ得ない
2022年03月22日
関連のレポート・コラム
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
-
日本経済見通し:2025年1月
2025~34年度における経済財政・金利・為替レートの中期見通し
2025年01月24日
-
2025年、インドの消費回復の行方は?
都市部中間層の消費回復がカギ。2/1発表予定の予算に期待
2025年01月23日
-
グラス・ルイスの議決権行使助言方針改定
2025年以降の株主総会に適用する助言方針改定はほぼ既報の通り
2025年02月04日
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
日本経済見通し:2025年1月
2025~34年度における経済財政・金利・為替レートの中期見通し
2025年01月24日
2025年、インドの消費回復の行方は?
都市部中間層の消費回復がカギ。2/1発表予定の予算に期待
2025年01月23日
グラス・ルイスの議決権行使助言方針改定
2025年以降の株主総会に適用する助言方針改定はほぼ既報の通り
2025年02月04日