東証市場区分見直し後の現状と課題

「成長」以外にグロース市場の課題解決の道はなし

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  • 調査本部 フェロー兼エグゼクティブ・サステナビリティ・アドバイザー 塩村 賢史

サマリー

◆本稿では、2022年4月の東京証券取引所(東証)市場区分見直し後の状況について、「市場のコンセプトの明確化」と「上場企業への規律付け」がどこまで達成されたかをデータに基づいて検証し、課題についても整理している。

◆東証がプライム、スタンダード、グロースの3市場へ再編された後、上場コストの上昇やアクティビストの脅威などを背景に、東証の上場企業数は2023年度をピークに減少している。近年は上場廃止などによる退出企業数が新規上場企業数を上回っており、特に上場維持基準の引き上げが発表されたグロース市場は新規上場の減少が目立つ。

◆プライム市場では、見直し後に「外国法人等」の株式保有比率が上昇しており、グローバルな機関投資家を中心とした市場という当初のコンセプトに沿って株主構成が変化している。一方、スタンダードでは「個人・その他」の保有比率が上昇し、グロースでは低下するなど、市場間の特徴も表れている。

◆市場区分見直し後の各市場別の株価指数では、グロース市場の低迷が目立つ。グロース銘柄は1株当たり純資産(BPS)がほぼ横ばいで推移するなど、他市場より成長(グロース)していないという皮肉な結果となっている。グロース市場では、上場が創業者やベンチャーキャピタルの投資回収の機会となり、上場時が最も企業価値が高い、いわゆる「上場ゴール」となっている企業が多い。

◆グロース企業は、成長戦略、人材・資金などのリソース、投資家との接点、流動性、株価形成などに課題を抱えている。しかし、機関投資家やリサーチの対象となるには一定の時価総額と流動性が必要であり、投資家との接点拡大は、企業の成長期待があってはじめて可能となる。グロース市場が高い成長可能性を持つ企業向けの市場となれれば、市場区分見直しの当初の目的は達成される。

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